合議審

合議審の概要

合議審（ごうぎしん）は、裁判所において3名以上の裁判官が集まり、共同で審理や判決を行う制度を指します。これに対して、裁判官が一人で審理を行う方式は「単独審」と呼ばれ、両者は裁判の進行や判断において異なる役割を担っています。

地方裁判所の合議体

合議体の構成

地方裁判所における合議体は、通常3名の裁判官から成り立っています（裁判所法26条3項）。裁判員制度が導入された際には、3名の裁判官と6名の裁判員が一緒に裁判に臨む形となります。ただし、起訴事実に争いがない場合、1名の裁判官と4名の裁判員の合計5名で審理されることもあります。

裁判官の人数が少ないケースを除けば、1つの部に通常3名から5名の裁判官が配属されており、部の総括判事が裁判長、また若手判事や特例判事補が陪席裁判官の役目を果たします。未特例判事補に関しては、1度に複数の合議体に参加することはできないというルールがあります（裁判所法27条2項）。

また、判決を作成する責任を持つ主任裁判官は、通常左陪席裁判官が担当することが一般的です。これは、未特例判事補が将来的に単独審を行うための実践的な技術を学ぶ目的で行われています。家庭裁判所の場合、合議体の形式は異なり、家庭裁判所所長が裁判長として機能します。

合議体で取り扱う事件

合議体によって扱われる事件は主に次の通りです。
1. 合議体についての決定がなされた事件（裁定合議事件）
2. 死刑や無期刑、または1年以上の懲役や禁錮に関わる刑事事件（法定合議事件）
3. 簡易裁判所の判決に対する控訴事件や、その決定に対する抗告事件

高等裁判所の合議体

高等裁判所では、原則としてすべての事件が合議体で三人の裁判官により処理されます。ただし、内乱罪など特定の重大な事件については、5名の裁判官で審理を行います。裁判長は部総括判事が務め、陪席判事も多くが地方裁判所の部総括判事経験者です。高等裁判所の陪席判事が地方裁判所において部総括判事を担当するケースも多く見られます。

最高裁判所の合議体

最高裁判所の大法廷は、15名の裁判官で構成され、最高裁判所長官が裁判長となります。小法廷では、各裁判官が対等な権限を有し、事件ごとに担当が交代する仕組みです。ちなみに、最高裁判所長官は裁判以外の業務が多いため、出席する回数は少ないものの、出席時には裁判長の役割を担います。

合議割れ

合議審において意見の相違が生じる状況を「合議割れ」といいます。下級裁判所における合議審では評議内容は秘密とされており、合議割れがあったかどうかを外部から把握することはできません。一般的には、過半数の意見により審理されるルールがありますが、合議割れが発生した場合の判断基準は異なり、意見が3通りに分かれた際は中央値を採用します。

一方で、高等裁判所の合議体では、すべての裁判官の意見が等しく公表されるため、合議割れが裁判文書に明示されることがある点が特徴です。裁判所法に基づく制度の中で、これらの合議体は裁判の公正さと透明性を確保するために重要な柱となっています。

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