吉備津神社 (福山市)

吉備津神社の概要

吉備津神社（きびつじんじゃ）は、広島県福山市新市町宮内に所在し、備後国の一宮として長い歴史を持つ神社です。地元住民からは愛称の「一宮さん」で広く親しまれています。この神社は、備後国の総鎮守として地域の人々に信仰され、現在は神社本庁の別表神社に位置付けられています。

神社は福山市北西部にあり、府中市との境に位置しており、この周辺地域がかつて備後国の中心であったことを知る上で重要です。主祭神には、備後国以前の吉備国を治めたとされる大吉備津彦命が祀られています。また、彼の一族に当たる神々も配祀されています。

1673年に改築された本殿は、重要文化財として国に指定されており、他にも数棟の文化財が地元で保護されています。中でも狛犬や戦国時代の太刀なども重要文化財として伝承されており、人々の信仰心を象徴する存在です。

神社の祭神

吉備津神社では、4柱の祭神を祀っています。主祭神は大吉備津彦命で、彼は第7代孝霊天皇の子であり、山陽道の平定に貢献したとされています。相殿神としては、父である大日本根子彦太瓊命、皇后の細比売命、弟の稚武吉備津彦命が名を連ねています。これらの祭神は、吉備国にまつわる歴史的な背景を色濃く映し出しています。

歴史

吉備津神社が創建されたのは、806年（大同元年）と伝えられています。当初、吉備国一宮だった吉備津神社からの勧請によって設立されたものの、実際の創建はこれよりも後であるという説もあります。この神社の名が初めて文献に登場するのは1148年で、12世紀以降の考古学的な調査からもその存在が確認されています。

中世期からは備後国の一宮として崇敬を集め、多くの社領や神人を有していました。また、戦国時代や江戸時代には、毛利氏や福島氏らからの社領の寄進が見られます。

境内の建造物

本殿

本殿は1648年に水野勝成によって再建され、入母屋造の檜皮葺きの建物です。この建物は国の重要文化財として指定されています。

拝殿

拝殿も本殿と同じく1648年の築造で、伝統的な意匠を保ちながら地域の指定文化財に認定されています。

神楽殿

神楽殿は、1673年に建てられた高床式の舞台を持つ建物で、現在は広島県の重要文化財として保護されています。

随神門

上随神門と下随神門が境内の異なる位置に存在し、特に上随神門は神々の使者を迎え入れたという伝説があります。

文化財と祭事

吉備津神社には、重要文化財として多くの建造物や工芸品が残されています。特に、木造の狛犬や室町時代の太刀が有名です。また、神社の背後に広がる鳶尾城は、昭和9年に国の史跡に指定されています。

現地情報

吉備津神社は、広島県福山市新市町宮内400に位置し、最寄りのJR新市駅から約25分の距離にあります。地域の歴史と文化を体感する場として、多くの参拝客が訪れています。

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