吉富滋

吉富滋（よしとみ しげる）は、1901年（明治34年）4月15日に生まれ、1946年（昭和21年）10月18日に亡くなった、日本の官僚です。内務省と厚生省で要職を歴任し、最終的には高知県知事としてその生涯を終えました。

生い立ちと学歴

吉富滋は山口県出身で、吉富瀬兵衛の二男として生まれました。彼は第一高等学校を卒業後、東京帝国大学法学部英法科に進学し、1929年に卒業しました。在学中の1928年には、文官高等試験行政科試験に合格しており、将来の官僚としてのキャリアを早くから約束されていました。

内務省でのキャリア

大学卒業後、吉富は内務省に入省し、神奈川県属としてキャリアをスタートさせました。その後、福島県教育課長や同地方課長、島根県警察部特別高等警察課長、兵庫県警察部外事課長など、様々な地方の要職を歴任しました。これらの経験を通して、地方行政の実務に関する深い知識と経験を培いました。

厚生省でのキャリア

内務省での勤務を経て、吉富は厚生省に移籍し、厚生事務官や軍事保護院書記官、同業務局業務課長などを歴任しました。特に、軍事保護院では、戦時下の軍事援護に関する業務に携わりました。また、厚生省大臣官房会計課長も務め、戦後の社会保障政策の基礎を築く上で重要な役割を果たしました。

高知県知事として

1946年1月、吉富は高知県知事に就任しました。戦後の混乱期において、県立学校の統合、四国配電株式会社重役陣の改組、県内の復興など、数々の難題に取り組みました。しかし、同年10月の臨時県会開催中に倒れ、知事在任中に急逝するという悲劇に見舞われました。

著書

吉富は著書として『軍事援護制度の実際』（山海堂出版部、1938年）を著しており、当時の社会情勢と軍事援護政策に対する彼の深い見識を垣間見ることができます。

まとめ

吉富滋は、内務・厚生官僚として、そして高知県知事として、激動の時代を駆け抜けた人物です。その短い生涯の中で、彼は地方行政から社会保障まで、幅広い分野でその能力を発揮し、戦後の日本の復興に大きく貢献しました。彼の業績は、日本の官僚制度史においても重要な位置を占めています。

参考文献

歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。

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