特別高等警察

特別高等警察（特高警察）

特別高等警察（とくべつこうとうけいさつ）、英語では Special Higher Police（SHP）は、日本の秘密警察であり、国体を保たんとした活動を行っていました。もともと国事警察として設立された「高等警察」から派生し、特に無政府主義者や共産主義者、社会主義者、また国家の存在に否定的な者たちに対して査察・内偵を行う役割を担いました。この組織は、内務省の警保局保安課の管理下で運営され、全国に設置されていましたが、1928年には未設置の県にも展開が進められました。特高警察は、暴力的な手法を使って一般市民の恐れを引き起こすことがありました。

概要

特別高等警察は、高等警察に基づく組織であり、「国家組織の根本を脅かす行為を排除するための警察的行動」として設計されました。このため、政治的な警察や思想警察に位置付けられています。日本の戦前治安警察法などに基づき、特に共産主義や社会主義、また右翼の国家主義運動に対して徹底的な取り締まりが行われました。この組織はともすれば一般市民に恐怖感を与えた存在として知られています。

沿革

特別高等警察は1910年の明治天皇暗殺事件において多くの無政府主義者や共産主義者が摘発される中で設立の必要性が強まりました。1911年、内務省によって高等警察の業務の一環として特別高等課が設けられ、内務省の直接的な指導を受ける体制が整いました。これにより、地方長官や警察部長を通すことなく、全国各地での社会運動に対する取締まりが効率化されました。

さらに1925年に治安維持法が制定され、特高警察の権限が法的に支えられることになりました。1932年には特別高等課が「特別高等警察部」に昇格し、警視庁を中心にその組織力が強化されていきます。その後、戦時中には反戦運動や新宗教など、政府にとって反体制的と見なされる活動への監視が強化されました。

組織の特徴

特別高等警察は特有な二層構造を持ち、内務省の保安課長や事務官は著しいエリートで形成されていました。彼らは厳しい試験を乗り越え、数年後には急速に昇進していきました。一方で、実務を担う特高警察の現場では、多くの専任警察官が活躍し、彼らは日常的な取り締まり業務をこなしていました。

特高警察の業務は全国的に展開され、各県の警察部長を通じて統制され、特高警察が内務省から直接指揮を受ける特異な仕組みが採用されていました。特に新聞や出版物の取り締まりを行うための検閲機能も持っており、その活動は徹底していました。

戦後の影響

1945年、特別高等警察は連合国軍最高司令官総司令部（GHQ）の人権指令により廃止されましたが、当時の警察官たちは他の警察機関に継承されました。その後も特高警察の構成員は調査局や公安警察などで引き続き活動を続けることができました。また、特高警察の業務や組織体制は、GHQによる占領下でも巧妙に受け継がれ、情報収集や監視活動の重要な役割を果たしました。

特別高等警察は、戦前・戦中の日本において非常に強大な影響力を持ち、一般市民の自由を脅かす存在でもありました。その歴史的な役割は日本の警察制度や社会運動に大きな影響を与えました。

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