吉岡たすく

吉岡たすく（よしおか たすく）は、1915年4月24日に大阪府で生まれ、2000年5月22日に逝去した児童文化研究家です。本名は吉岡 佐（読みは同じ）でした。

経歴

大阪府立生野中学校に学び、その後、大阪府天王寺師範学校を卒業しました。卒業後は泉大津市に移住。1935年より大阪府高石市の小学校に勤務し、教員として教壇に立つ傍ら、幼児教育、児童文化、童話といった分野の研究に深く没頭しました。やがて小学校の校長も務め、教育現場での経験を積み重ねました。元日本サッカー協会会長である川淵三郎氏は、吉岡氏が高石小学校で教員をしていた頃の教え子にあたります。

研究・メディア活動

1975年3月に小学校を退職した後も、児童文化研究への情熱は衰えることなく、精力的に活動を続けました。全国各地で教育講演を行い、その知見を多くの人々に伝えました。また、研究成果や教育論をまとめた著作を多数発表しました。

メディアへの露出も多く、教育者としての顔が広く知られるようになります。毎日放送の『八木治郎ショー』にレギュラー出演したほか、NHK教育テレビの『おかあさんの勉強室』にも度々出演し、視聴者の教育に関する悩みに寄り添いました。

特に、1976年に放送を開始したテレビ静岡制作・フジテレビ系列の教育番組『テレビ寺子屋』には、番組開始当初からレギュラーとして出演。以来、実に23年間にわたり、温かくも示唆に富む語りで多くの視聴者の共感を集めました。1999年7月、番組内で行った講演を最後にレギュラー出演を終えました。その後もテレビやラジオでの活動を続けましたが、2000年に肺がんのため、85歳で永眠しました。

受賞

長年にわたる児童文化への貢献が認められ、1972年には久留島武彦文化賞を受賞しています。また、放送教育における功績に対しても高い評価を受け、1981年には放送文化基金賞を受賞しました。

主な著作

吉岡氏は多作であり、その著書は教育、子育て、児童文化など幅広いテーマに及んでいます。代表的なものとしては、子どもの内面を描いた「小さいサムライたち」シリーズ、『のびのび子育て』といった「テレビ寺子屋」関連の書籍などがあります。また、自身の著作をまとめた『吉岡たすく著作選集』（全12巻）や『吉岡たすく続著作選集』（全11巻）も出版されており、その研究と思想の広がりを示しています。これらの著作や講演活動を通して、子どもたちの成長を見守り、家庭教育のあり方を提唱し続けました。

共著や編著も多く、学校劇の脚本集や人形劇、影絵遊びに関するもの、他の教育者との対談集など、多角的な活動の一端がうかがえます。また、和泉市立北松尾小学校の校歌を作詞しています（作曲は紙恭輔）。

吉岡たすく氏は、教育者としての現場経験と研究者としての探求心、そしてメディアを通じた発信力によって、多くの家庭に影響を与え、日本の児童文化および教育の発展に大きく貢献しました。

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