吉岡勲

吉岡勲（よしおか いさお）

概要

吉岡勲は、1914年3月23日に生まれ、1993年5月4日に亡くなった日本の歴史学者です。主に岐阜県の郷土史研究に深く関わり、教育者としても長年貢献しました。その研究は、地域文化の掘り起こしと、歴史の継承に大きな役割を果たしました。

生涯

北海道常呂郡常呂村に生まれましたが、本籍は岐阜県でした。岐阜県立本巣中学校（現在の岐阜県立本巣松陽高等学校）を経て、1933年に岐阜県師範学校を卒業後、岐阜県内の小学校教諭として教鞭を執りました。その後、岐阜市立西郷小学校、早田小学校、長良小学校、金華小学校で校長を歴任。教育現場での経験を積む傍ら、岐阜県小中学校校長会理事や全国小学校長会理事、岐阜県教育研究所次長、岐阜県史編集室長など、教育行政にも携わりました。さらに、岐阜大学や中部女子短期大学で非常勤講師も務めるなど、教育者としての幅広い活動を展開しました。

1974年に60歳で教職を退いた後、1976年には皇學館大学文学部の講師に就任。1978年には助教授となりましたが、1979年に脳血栓を患い、大学を退職しました。

業績

教育者としての活動と並行して、岐阜県の郷土史研究に情熱を注ぎました。師範学校時代に平泉澄の著書に感銘を受け、1934年に青々塾に入塾。平泉澄を生涯の師と仰ぎました。また、下呂出身の軍人、黒木博司少佐の伝記をまとめることにも尽力。『黒木少佐を偲ぶ』『慕楠録』を経て、『ああ黒木博司少佐』を完成させ、その抄録である『黒木少佐の面影』も著しました。これらの著作は、郷土の英雄を顕彰し、後世にその功績を伝える上で重要な役割を果たしました。

吉岡勲の業績は、教育者としての活動と、郷土史研究者としての活動の両輪によって支えられていました。地域に根ざした視点から歴史を捉え、その魅力を広く伝えることに貢献しました。著書は多岐にわたり、岐阜県の歴史、文化、人物に焦点を当てたものが多く、地域の歴史を研究する上で貴重な資料となっています。

受賞・受章歴

吉岡勲は、その功績が認められ、数々の賞を受賞しました。

1972年：学制百年記念教育功労者
1978年：岐阜県芸術文化奨励
1979年：教育文化賞
1980年：岐阜県芸術文化顕彰
1985年：地域文化功労者表彰
1987年：勲五等双光旭日章

これらの受賞歴は、吉岡勲が教育と文化の両分野において、地域社会に大きく貢献したことを示しています。

著書

吉岡勲は、数多くの著書を執筆しました。以下はその一部です。

『本巣郡に於ける近世社会』(1952年)
『岐阜県の歴史（上）』（阿部栄之助と共著）(1954年)
『岐阜県の伝説』(1955年)
『岐阜県の歴史（近世）』（阿部栄之助と共著）(1956年)
『岐阜県の歴史（近代）』（阿部栄之助と共著）(1958年)
『岐阜県に生きた人々』(1960年)
『ふるさとの道岐阜県』(1966年)
『鵜沼の歴史』（栗木謙二と共著）(1966年)
『粥川の歴史と家譜』（共著）(1968年)
『岐阜県史への開眼』(1969年)
『岐阜県の歴史的表情』(1971年)
『七十八のほとけ』(1974年)
『ふるさと糸貫の歴史』(1977年)
『岐阜県人』(1977年)
『生きている民俗探訪岐阜』(1978年)
『ああ黒木博司少佐』(1979年)
『郷土歴史人物事典　岐阜』（編著）(1980年)
『神道大系　神社編　美濃・飛騨・信濃』（校注）(1983年)
『岐阜市史の扉をひらいて』(1984年)
『目で見る岐阜市民の100年』(1984年)
『著作ならびに関繋書目』(1985年)
『道遙けく　一郷土史学徒のあゆみ』(1986年)
『恩師の道を仰いで』(1986年)
『図説岐阜の歴史』(1986年)
『岐阜県史の視座』(1987年)
『岐阜県歴史年表』（編著）(1988年)
『山崎闇斎美濃国の門流』(1990年)
『吉岡勲先生遺稿撰集　岐阜県地方史研究の巨星』(1994年)
* 『青薫子摘録　吉岡勲先生の歩み』（吉岡勲の日記をもとに村瀬一郎が編集）(1995年)

これらの著作は、岐阜県の歴史や文化を多角的に捉え、その魅力を伝えています。また、自治体史の編纂にも多数関わり、地域の歴史を記録し、後世に伝えることに大きく貢献しました。

吉岡勲の生涯は、教育と郷土史研究に対する情熱に満ち溢れていました。その業績は、岐阜県の歴史と文化を理解する上で欠かせないものとなっており、彼の情熱は、今もなお多くの人々に影響を与えています。

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