吉岡弘行

吉岡弘行（よしおか ひろゆき）は、日本の音楽界において、作曲家、編曲家、そして指揮者としてその名を広く知られる存在である。岡山県岡山市中区に生まれ、音楽への道を志した。

その音楽教育は、まず岡山県立岡山芳泉高等学校を経て、国内最高峰の教育機関である東京芸術大学へと進む。同大学の音楽学部作曲科にて専門的な研鑽を積み、さらに同大学院の音楽研究科を修了している。この間、作曲を河田文忠、北村昭、小林秀雄、佐藤眞の各氏に、指揮法を坂本和彦、ヘルムート＝リリンクの両氏に、また、ヴァイオリンを井崎郁子、澤和樹氏に、ピアノを野村真理氏に師事するなど、多岐にわたる指導を受け、音楽家としての確固たる基盤を築いた。

若手音楽家としての才能は早くから認められており、1982年度には第9回笹川賞創作曲コンクールの合唱部門において2位を受賞。翌1983年には、権威ある第52回日本音楽コンクール作曲部門（室内楽）で第2位（1位なし）に輝くなど、作曲家としての優れた手腕を示している。

指揮者としての活動も精力的に行っており、これまでに数多くのオーケストラや合唱団を指揮している。その範囲は、日本ニューフィルハーモニー管弦楽団や岡山交響楽団といったプロ・アマチュアオーケストラから、西日本医科学生オーケストラ、葛飾フィルハーモニー管弦楽団、北浦室内管弦楽団、原宿バロックアンサンブルなどの多様な団体に及ぶ。また、合唱分野では、東京混声合唱団のようなプロ合唱団から、武蔵野市民合唱団、同志社混声合唱団こまくさ、東京クローバークラブ、葛飾区民合唱団、ジョリーラジャース、松戸市民コンサートといった市民合唱団、さらには葛飾区民ミュージカルなど、幅広いジャンルと形態の音楽集団を指揮し、その音楽的才能と指導力を発揮している。

吉岡氏の創作活動は多岐にわたり、特に合唱作品は数多く発表されている。詩人・作詞家との共同作業を通じて、感情豊かな作品を生み出している。

合唱作品

混声合唱作品
谷川俊太郎作詞による合唱組曲「十ぴきのねずみ」、門倉さとし作詞による「風の詩集」、「あしたの灯」、「星座の海」といった組曲のほか、小野寺玉峰作詞「春」などがある。また、既成曲の編曲も手掛け、「ふるさと春夏秋冬」や平井堅のヒット曲「瞳をとじて」の合唱編曲がある。
同声（女声）合唱作品
児童・女声のための合唱組曲として、まど・みちお作詞「虫の絵本」（1995年9月3日岡山シンフォニーホールにて初演）、門倉さとし作詞「風の詩集」、伊藤千鶴作詞「キュイジーヌ」がある。その他、「レモンの車輪」（女声合唱とピアノのための小組曲）や少年少女のための「雲雀の歌」も手掛けている。
* 男声合唱作品
「Requiem」Op.48、組曲「冬の旅」、「わたしのうた」、「ろくにんのビッグショー」など、力強い男声合唱作品も存在する。

その他の作品

合唱作品以外では、ミュージカル「うちの猫がいなくなった」、オペラ「ひかりのゆりかご」、「君と見る夢」といった舞台作品、管弦楽のための「レ・プレリュード」、序曲「瀬戸内の風」、仏教カンタータ「女人讃嘆」「わらべの祈り」「花の韻」「十三仏尊」、弦楽四重奏曲第1番、第2番など、器楽・声楽・舞台音楽と幅広いジャンルで作曲・編曲を行っている。また、NHK Eテレの番組「びじゅチューン!」ではコーラス編曲を担当するなど、メディアを通じた活動も行っている。水元小合学園の校歌作曲も手掛けている。

現在も、作曲家、編曲家、指揮者として多方面で活動を続けており、日本の音楽シーンにおいて重要な役割を果たしている。

もう一度検索