吉岡隆徳

吉岡隆徳について

吉岡隆徳（よしおか たかよし、1909年6月2日 - 1984年5月5日）は、日本の陸上短距離選手であり、昭和初期のスポーツ界に大きな足跡を残した優れたアスリートです。出身は島根県で、本名は「たかよし」ですが、「りゅうとく」という通称でも知られています。身長165cm、体重61kgの体躯を持ち、彼は東京高等師範学校（現在の筑波大学）を卒業し、東京女子体育大学の教授としても知られていました。

若き日と陸上競技の出会い

吉岡は、島根県簸川郡西浜村の宮司の四男として生まれました。小学校を卒業後には斐川町の吉岡家に養子として迎え入れられました。自宅と学校との間には砂丘があり、自然と足腰を鍛えることができました。後に旧制島根県立杵築中学校を3年で中退し、1925年に師範学校に転入します。ここで谷三三五という陸上競技の指導者に出会い、彼の才能に注目されることになります。

1927年には第8回極東選手権に日本代表として出場し、100メートルで3位、200メートルでも入賞を果たします。1930年には東京高等師範学校に進学し、その年の極東選手権では100メートルで日本選手として初めて優勝を果たしました。

オリンピックでの活躍

吉岡の名を一躍知らしめたのは、1932年のロサンゼルスオリンピックです。100メートルに出場し、6位入賞という結果を収めました。この時、金メダルを獲得したエディ・トーランに「暁の超特急」という愛称がつけられたことでも知られています。準決勝では3着でフィニッシュしており、彼自身はトーランを上回る力を持っていたと語るなど、記憶に残るレースとなりました。

競技と指導者としての人生

吉岡はその後も国内外で数々の大会に出場し、1933年には自己記録を更新。1934年には研究科に進みながら、中学校の教員も務め、結婚しました。また、1935年には関東近畿フィリピン対抗陸上競技大会で10秒3の世界タイ記録を樹立するなど、数々の業績を残しました。しかし、翌年のベルリンオリンピックではプレッシャーから不眠症に悩まされ、記録が伸び悩みました。

1941年には広島高等師範学校で教授として活動し、戦後は教育行政に携わると共に広島カープの初代トレーナーも務めました。その後、陸上競技の指導者に復帰し、指導者としても多くの選手を育てました。

逸話と記憶

吉岡は、思い出に残るレースや選手としての経験に強くこだわりを持ち続けました。特にスターターダッシュには自信があり、そのスタート時に身体を締めてダッシュする様子が印象的でした。陸上競技においては大きな功績を残し、多くの後進に影響を与えました。また、彼の死後もその功績が称えられ、島根県では毎年吉岡隆徳記念の大会が開催されています。記念碑も建立され、彼の業績は今なお人々の記憶に刻まれています。

吉岡隆徳は、ただのアスリートではなく、教育者や指導者としても活躍し続けた日本陸上界の重要な存在であり、彼の人生は多くの人々に影響を与えました。

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