谷三三五

谷三三五について

谷三三五（たに ささご、1894年5月9日 - 1956年7月24日）は、日本の陸上競技選手及び指導者であり、その業績は日本陸上界において特に重要な位置を占めています。彼は日本人として初めて100メートル走で10秒台の記録を達成したことで知られ、1924年のパリオリンピックにも出場しています。

学歴と初期のキャリア

岡山県和気郡伊里村（現在の備前市伊里）に生まれた谷は、伊里尋常高等小学校を卒業後、明治大学に進学します。卒業後は鉄道省に就職し、安定した職に就くも、彼の心は陸上競技に根強く結びついていました。1917年には第5回日本陸上競技選手権大会に参加し、男子100メートルで初優勝を果たします。ここに始まり、彼は第10回から12回の日本選手権において男子100メートルの種目で三連覇を達成します。

オリンピック出場

1924年、谷はパリオリンピックで日本代表に選ばれ、岡山県出身者として初めて五輪で競技に臨みました。代表選考会では、雨の中行われた100メートルで3位、200メートルで優勝という成績を収めますが、最終的には両種目の代表に選出されます。オリンピック本番では男子100メートルと200メートルに出場し、100メートルでは予選1回戦で敗退しますが、この時同じ組の1着は後に金メダルを獲得するハロルド・エイブラハムスでした。谷は自己ベストには及ばなかったものの、そのスタートには自信を持っていたと伝えられています。

競技後のキャリア

谷は1930年に『百米十五年』という著書を出版し、自身の練習方法や競技に関する経験を論じました。特にパリオリンピックでのスタート失敗の理由を詳しく分析し、選手としての成長を求める後進たちに貴重な示唆を与えました。1925年には日本人として初めて100メートルで10秒8の日本記録を樹立し、その後も国内外で数々の競技大会に参加、特に極東選手権競技大会では日本代表として重要な役割を果たしました。

競技生活を終えた後は、指導者として後進の育成に努めました。特に、アムステルダムオリンピックで女子800メートルの銀メダリストとなった人見絹枝や、その当時師範学校生だった吉岡隆徳などに指導を行い、多くの選手を育てました。

記念行事と影響

1945年から1952年には三重県陸上競技協会の理事長を務め、戦後の陸上競技の発展に寄与しました。また、備前市陸上競技協会が2018年より開催している「谷三三五記念陸上大会」は、彼の偉業を称える重要なイベントとなっています。

文化的影響

興味深いことに、谷の存在は他の文化的な側面にも影響を与えました。江崎グリコの菓子「グリコ」のパッケージに描かれた初代ランナーの絵は、谷の「にこやかなゴールイン姿」を参考にしたものです。このように、谷三三五は日本の陸上競技の歴史だけでなく、広範な文化的影響を持った人物でもあると言えるでしょう。彼が築いた道は今も多くのアスリートに引き継がれています。

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