吉川進

東映特撮の巨匠 吉川進 - スーパー戦隊とメタルヒーローの父 -

吉川進（1935年10月13日-2020年7月10日）は、日本のテレビ業界、特に東映特撮作品において、その名を輝かせた敏腕プロデューサーである。東京都出身。東映テレビ事業部企画営業第二部長として、1980～90年代前半にかけて数々の特撮作品を世に送り出し、日本の特撮黄金期を支えた立役者の一人と言えるだろう。

東映でのキャリアと特撮との出会い

吉川氏のキャリアは1958年、東映入社から始まる。1964年には新設された東映テレビ部に配属され、テレビドラマ制作の世界に足を踏み入れる。初期には『日本剣客伝』などのテレビドラマのプロデュースを手掛けた後、1972年、『人造人間キカイダー』への参加をきっかけに特撮作品の世界へと進出する。当初は人間ドラマの手法を取り入れていたが、不評だったことから、以降のヒーロー作品では従来のスタイルを採用することとなる。この経験は、後の作品制作に大きな影響を与えたことは言うまでもない。

スーパー戦隊シリーズとメタルヒーローシリーズの隆盛

1975年、『秘密戦隊ゴレンジャー』に平山亨氏とともに参加し、スーパー戦隊シリーズの立ち上げに大きく貢献する。その後も『大戦隊ゴーグルファイブ』までプロデューサーとしてシリーズを牽引、長期シリーズ化と海外進出に尽力した。

さらに1982年には、折田至氏とともにメタルヒーローシリーズを立ち上げ、『宇宙刑事ギャバン』などをプロデュース。これらのシリーズは、子どもたちを中心に爆発的な人気を博し、特撮界の隆盛に貢献した。吉川氏のプロデューサーとしての手腕がなければ、これらのシリーズは今の形では存在しなかっただろう。

仮面ライダーシリーズへの参加と多様な作品

1987年には、平山亨氏からバトンを受け、『仮面ライダーBLACK』を担当。従来の仮面ライダーシリーズとは異なる作風で、視聴者を魅了した。また、その後もテレビシリーズだけでなく、『仮面ライダーZO』『仮面ライダーJ』など、テレビ以外のメディアでも仮面ライダー作品を手掛けている。

スーパー戦隊、メタルヒーロー、仮面ライダーといった東映を代表する特撮シリーズの他、幅広いジャンルの作品をプロデュースした。中でも『スパイダーマン』では、エンディングテーマの作詞も手掛けていることでも知られる。

スタッフ育成と作品への情熱

吉川氏はプロデューサーとして、作品そのものだけでなく、スタッフ育成にも尽力した。数々の脚本家や監督を登用し、彼らの才能を開花させた。その一方で、特撮作品が東映社内において低い地位に置かれていた時代には、撮影環境の悪さや制約の中で作品を作り上げていく苦労も経験している。しかし、それらの苦労を乗り越え、常に高いクオリティの作品を生み出そうと努力を続けた。

吉川氏の人となりは、多くの関係者の証言からも窺える。現場では厳しい一面もあったようだが、それは作品への並々ならぬ情熱の裏返しであったと言えるだろう。山川啓介氏や田中秀夫氏といった、多くのクリエイターとの協働を通して、吉川氏は数々の名作を生み出した。

東映ビデオへの異動と晩年

1995年に東映ビデオへ異動し、『超光戦士シャンゼリオン』を最後に東映でのプロデューサー業を引退。その後は、自身のプロデュース作品のDVDインタビューや特撮関係のムック本などで、自身の経験や考えを語っていた。2020年7月10日、84歳で死去。

吉川進の功績

吉川進氏は、日本の特撮史に大きな足跡を残した人物である。彼の功績は、単に数々のヒット作を生み出したということだけではない。スーパー戦隊シリーズやメタルヒーローシリーズといった、現在も続く人気シリーズの基礎を築き、多くの才能を育成したことが、彼の真の偉大さと言えるだろう。彼の残した作品は、これからも多くの人々に感動を与え続け、日本の特撮文化に大きな影響を与え続けるだろう。

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