吉本総合芸能学院

吉本総合芸能学院（NSC）

吉本総合芸能学院（よしもとそうごうげいのうがくいん）は、1982年に吉本興業が設立したタレント養成所です。通称「NSC」と呼ばれ、主に新人芸人やタレントの育成を目的として運営されています。その名の通り、吉本興業の「新星創造」を使命として、多くの若手がここで育っていきました。

概要と入学資格

NSCでは中学校を卒業した（あるいは卒業見込みの）者を対象にしており、基本的な在学期間は1年間です。特に大阪校からはダウンタウンをはじめとする多くの有名タレントが巣立っており、卒業生の大多数は吉本に所属しますが、他の芸能事務所に移籍して成功を収める人々もいます。また、中退や途中入学した人も芸歴に数えられるため、同じ扱いを受けます。しかし、期間中の活動開始時期などによっては、厳密に先輩後輩が分けられるケースもあります。

歴史の背景

NSCの歴史は、1938年にさかのぼり、漫才作家が新設した「漫才道場」が起源です。1970年代末から1980年にかけて漫才ブームが起こり、多くの新しい芸人が台頭しました。この流れの中で、NSCの初代校長である冨井善則が「若いお客さんが求める感覚の芸人を育てる必要がある」と考え、NSCを設立しました。

当初は大阪にあるボウリング場の一角を教室として使用し、入学金は3万円、月謝は1万円という形で開校されました。初期のカリキュラムには一般講義の他、漫才やコント、演技、さらにはジャズダンスや日本舞踊なども含まれるものでした。当時は明確な教育方針がなかったため、学生たちは時折奇妙な授業を受けることもありました。たとえば、松本人志（ダウンタウン）はフラメンコの授業を例に挙げ、「参加する価値がない」と感じた経験を話しました。

新しい成長

しかしこのような状況でも、NSCから輩出された生徒たちは活動を続け、やがて芸人としての道を歩んでいきました。特に、NSC設立初期はダウンタウンやハイヒールといったグループが注目を集め、生徒たちが定期的にNSC寄席を開催するなどして新しいエンタテインメントの形を模索していました。これに伴い、従来の師弟関係が変わり、よりオープンな形での育成が進みました。

1990年代初頭には生徒数が急増し、特に第二次ベビーブームに重なる1992年には800人が入学しました。また、年齢制限も徐々に撤廃され、多様な人々が集まるようになりました。

現在の状況

近年では、2020年に新型コロナウイルスの影響により授業スタイルが変更され、オンライン授業が取り入れられるなどして柔軟な対応が求められました。他にも、新たに多くの校舎が開かれたり、優秀な生徒に更なるチャンスが与えられるような取り組みも続いています。

NSCは今や日本のお笑い界に欠かせない育成機関として、多くの有名タレントを育成し続けています。これからも新たな才能がこの場から生まれ続けることでしょう。

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