吉村龍一

吉村龍一の生涯と作品

吉村龍一（よしむら りゅういち）は、1967年に山形県南陽市で生を受けた小説家で、元自衛官でもあります。本名は斎藤順一（さいとう じゅんいち）で、彼のペンネームは名作家の吉村昭からの影響を受けています。彼の人生は、文学と軍事経験というユニークな背景から成り立っており、作家としての活躍は彼自身の人生観を色濃く反映しています。

自衛隊でのキャリア

吉村は、高校を卒業した後の1985年に自衛隊に入隊し、陸上自衛隊の施設科員として勤務しました。彼は橋梁爆破や地雷埋設などの訓練を受け、最終的に三等陸曹の階級にまで昇進しました。この経験は、彼の作品にも影響を与えており、戦争や人間の本質を題材にする際に重要な要素となっています。自衛隊を除隊した後は、近畿大学豊岡短期大学へ進学し、卒業後は故郷に戻り小学校での技能士として、子供たちと接する仕事に従事しました。

作家としての出発

吉村は、地元の「小説家（ライター）になろう講座」に参加し、書くことへの情熱を再燃させました。この講座では池上冬樹が世話役として指導を行い、吉村はその後代表に就任します。2012年には、彼のデビュー作『焔火（ほむらび）』が講談社主催の第6回小説現代長編新人賞を受賞し、一躍注目を浴びました。この作品は、著名な選考委員からも称賛され、彼の作家としての道を切り開くこととなりました。

受賞歴と評価

翌年の2013年には、作品『光る牙』が第16回大藪春彦賞の候補に選ばれるなど、彼の作品は次第に評価が高まっていきました。吉村は宮沢賢治や戸川幸夫の小説を愛読し、彼らの影響を受けた独自の文学を展開しています。彼の作品には、戦争の影響や人間関係の複雑さが描かれていることが特徴で、読者に深い感銘を与え続けています。

主な著作

吉村の代表作には以下のようなものがあります。

• - 焔火（2012年1月、講談社）
• - 光る牙（2013年3月、講談社 / 2015年3月、講談社文庫）
• - 旅のおわりは（2013年5月、集英社文庫）
• - オロマップ 森林保護官 樋口孝也（2014年6月、講談社）

- 収録作品: 砕けた爪 / 溢れる森 / 土葬 / 裂傷 / オロマップ / 波打つ背

• - 隠された牙 森林保護官 樋口孝也の事件簿（2017年5月、講談社文庫）
• - 真夏のバディ（2015年5月、集英社文庫）
• - 息ができない（2015年7月、徳間書店）
• - 海を撃つ（2016年1月、ポプラ社 / 2018年2月、ポプラ文庫）
• - 清十郎の目（2016年11月、中央公論新社）

趣味と個性

彼の趣味には川釣りがあり、自然との触れ合いが彼の創作活動の源となっています。吉村龍一の作品は、実体験や豊かな自然への観察が生かされており、彼の独特な視点から描かれる物語は多くの読者に感動を与えています。作家としての彼の人生は、今後も新たな作品を生み出し続けることでしょう。

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