吉武長一

吉武長一: 明治から昭和にかけての建築家

吉武長一（よしたけ ちょういち）は、1879年8月7日に山口県佐波郡牟礼村（現在の防府市）で生まれた日本の建築家です。彼の作品は主に金融機関や教会の建築で知られ、特に村井銀行の建物は彼の代表作となっています。

経歴と教育

吉武は若い頃、アメリカに渡り、ペンシルバニア・テクニカルカレッジで建築を学びました。1909年に日本へ帰国し、海軍省の嘱託として活動を開始しました。翌年には村井銀行の建築部長に就任し、以後の彼のキャリアに大きな影響を与えました。1913年には独立し、吉武建築事務所を設立し、以降、自身のビジョンを具現化するためのさまざまなプロジェクトに取り組みました。

代表的な作品

彼の代表作には以下のような建物があります。

• - 銀座教会（1912年、東京銀座）: 関東大震災で焼失。
• - 村井銀行本店（1913年、東京日本橋）: 1970年代に取り壊されたが、跡地には一部の建材が保存されています。
• - 村井銀行七条支店（1914年）: 現在はきょうと和み館SECONDHOUSE西洞院店として利用されています。
• - 村井邸洋館（1916年、東京永田町）: 後に移築され、日仏会館として利用されましたが、現存していません。
• - 安藤記念教会（1917年、東京元麻布）: 特徴的な大谷石とステンドグラスが用いられ、東京都選定歴史的建造物として認められています。
• - 村井銀行神戸支店（1920年）: 後に日産ビルとして利用されましたが、1991年の阪神・淡路大震災で被災し取り壊されました。
• - 村井銀行祇園支店（1924年）: 現在はキャンディ・ショータイムとして営業しています。
• - 村井銀行五条支店（1924年）: 現在は京都中央信用金庫東五条支店として利用されています。
• - ハリス記念鎌倉メソジスト教会（1926年）: 現在は日本基督教団鎌倉聖ミカエル教会聖堂として利用されています。

吉武はまた、田園調布の駅前広場の設計にも関与しました。彼自身も田園調布に住んでおり、その地において多くの影響を与えました。

設計への関与

1915年には帝国ホテルの新築計画にも関与し、著名な建築家F.L.ライトが送った設計図を検討しました。さらに、ホテルの支配人がアメリカに出張する際には同行しています。このように、吉武はその後の日本建築にも影響を与える多くの経験を積んでいました。

影響と評価

彼の仕事は日本の近代建築において重要な位置を占めており、特に村井銀行に関しては「村井家のお抱え建築家」と呼ばれるほどでした。彼のデザインは機能性と美しさの両立が図られており、現在でも評価されています。

このように、吉武長一は日本の建築界に多大な貢献をし続け、1953年に亡くなるまで、その影響は数多くの人々に受け継がれています。

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