吉永雅人

吉永 雅人

吉永 雅人（よしなが まさと）氏は、日本のホルン界を代表する奏者の一人です。現在、新日本フィルハーモニー交響楽団の首席ホルン奏者として、オーケストラの重要なパートを担っています。そのキャリアは若くして華々しいスタートを切り、国内外での研鑽を経て、ソリスト、室内楽奏者、そして音楽教育者として多岐にわたる活動を展開しています。

経歴と初期の活躍

1985年、東京音楽大学付属高等学校に在学中だった吉永氏は、早くからその卓越した才能を発揮し始めました。同年開催された第1回全日本管打楽器フェスティバル・ホルン部門では、見事金賞ならびに特別賞を受賞。さらに同年の第2回日本管打楽器コンクール・ホルン部門では第1位に輝くという快挙を成し遂げ、注目を集めます。このコンクール入賞の副賞として、当時の森正氏が指揮する新日本フィルハーモニー交響楽団との協奏曲共演を果たしており、これが後の楽団での活動へと繋がる最初の一歩となりました。

1986年には、東京音楽大学音楽学部器楽科のホルン専攻に進学。大学では安原正幸氏に師事し、専門的な学びを深めます。学生時代には海外での学びの機会も得ており、1988年には当時の東ドイツ、ヴァイマルへ渡り、著名なホルン奏者であるペーター・ダム氏に師事するなど、国際的な視点から自己の演奏技術と音楽性を磨きました。

新日本フィルハーモニー交響楽団での活動と留学

大学に在学中の1989年という早い時期から、吉永氏は新日本フィルハーモニー交響楽団の一員として活動を開始します。そして1990年に東京音楽大学を卒業。以来、同楽団の主要メンバーとして、その重厚かつ繊細なホルンの響きでオーケストラのサウンドを支え続けています。

1994年には、アフィニス文化財団の海外研修生に選ばれ、さらなる研鑽のためにミュンヘンへ留学します。約1年間にわたり、ミュンヘン市立リヒャルト・シュトラウス音楽院に在籍し、バイエルン放送交響楽団の首席ホルン奏者であったヨハネス・リツコフスキー氏に師事しました。この留学期間中には、バイエルン放送交響楽団やミュンヘン・バッハ管弦楽団に客演するなど、ヨーロッパの第一線で活躍する楽団と共に演奏する貴重な経験を積みました。これは、首席奏者としてのキャリアを確立する上で、かけがえのない財産となっています。

ソリスト、室内楽奏者としての活躍

オーケストラ奏者としてだけでなく、ソリストや室内楽奏者としても活発な演奏活動を行っています。2001年には、東京の主要なホールのひとつであるカザルスホールにて、自身初となるソロリサイタルを開催し、成功を収めました。ソリストとしては、これまでに小澤征爾、井上道義、G.ボッセといった国内外の著名な指揮者たちと協奏曲を共演しており、その表現力豊かな演奏は高く評価されています。

また、室内楽の分野でも重要な役割を果たしています。東京ホルンクヮルテット、オイロス・アンサンブル、なぎさブラスゾリステンといった著名なアンサンブルのメンバーとして活動しており、これらのグループで制作された多数のCDがリリースされています。これらの録音は、吉永氏のホルン演奏の魅力を様々な形で伝えています。

教育活動

演奏家としての多忙な活動の傍ら、後進の指導にも熱心に取り組んでいます。現在、東京音楽大学、桐朋学園大学、桐朋学園芸術短期大学で講師を務めており、若い世代の音楽家育成に情熱を注いでいます。自身の豊富な経験と知識を次世代に伝えることで、日本の音楽教育にも貢献しています。

長年にわたり新日本フィルハーモニー交響楽団のサウンドを支え、ソリストとしても多くの人々を魅了してきた吉永雅人氏。その多彩な活動は、日本の管楽器界において重要な存在感を示しています。

主なCD作品

「リサイタル／東京ホルンクヮルテット」
「ダンス・マルシェ／東京ホルンクヮルテット」
「真夏の夜の夢／オイロス・アンサンブル」
「ヴィント／オイロス・アンサンブル・クインテット」

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