吉田善明

吉田善明（よしだ よしあき）は、1936年12月22日に生まれ、2022年4月15日に逝去した日本の法学者で、憲法を専門としていました。明治大学の名誉教授であり、長年にわたり同大学で教鞭を執りました。

人物

北海道室蘭市出身の吉田善明は、明治大学法学部で教鞭をとり、法学部長、法科大学院教授、付属明治高等学校・中学校校長、大学理事などを歴任しました。安澤喜一郎と和田英夫に師事し、樋口陽一（東京大学名誉教授）とは共同研究者として、憲法研究に携わりました。明治大学法学部では、「善明（ぜんめい）さん」という愛称で親しまれていました。

吉田善明の憲法解釈は、通説にとらわれない独自の視点を持っていました。特に、日本国憲法第41条に記された「国権の最高機関」という語句について、従来の政治的美称説を批判し、樋口陽一とともに「統括機関説」を主張しました。この説は、国会が単なる象徴的な存在ではなく、実質的な権限を持つ機関であるという立場を示しています。また、日本国憲法第25条（生存権）に関しては、プログラム規定説に立脚する判例を批判し、国民の権利をより具体的に保障する「具体的権利説」を支持しました。さらに、憲法第9条の解釈においては、反戦的な立場から独自の学説を展開しました。

略歴

吉田善明は、北海道室蘭清水丘高等学校を卒業後、明治大学法学部に進学しました。同大学の大学院法学研究科博士課程を単位取得退学後、明治大学法学部の助教授、教授として教鞭を執りました。また、早稲田大学や一橋大学でも講師を務めました。さらに、司法試験考査委員も務め、法学博士（明治大学、1989年）の学位を取得しました。

2022年4月15日、急性心不全のため86歳で死去しました。

著書

吉田善明は、憲法に関する多数の著書を執筆しました。主な著書としては、

『解説世界憲法集 第4版』（樋口陽一共編、三省堂、2001年）
『三省堂憲法辞典』（樋口陽一他共編、三省堂、2001年）
『日本国憲法論』（三省堂、2003年）
『地方自治と日本国憲法』（三省堂、2004年）

などがあります。これらの著書は、憲法研究における重要な文献として、広く参照されています。

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