吉田川 (郡上市)

吉田川（よしだがわ）

吉田川は、岐阜県郡上市を流れる木曽川水系の一級河川であり、長良川や揖斐川を経て伊勢湾に至る流れの中で重要な位置を占めています。この川の源流は、郡上市明宝と高山市荘川町の境にある烏帽子岳近辺にあり、そこから流れ出て、八幡町有坂で長良川と合流します。吉田川という名前の由来は、かつてこの地域に住んでいた吉田太丸左衛門に由来しているとされています。

流路と周辺環境

吉田川は、その流路の多くが国道472号と並行しており、坂本大橋や大村橋、三原橋、長尾橋などの美しい橋が架かっています。この国道は「せせらぎ街道」とも呼ばれ、特に紅葉のシーズンには多くの観光客が訪れます。また、吉田川には気良川や寒水川、犬啼谷、赤谷川、乙姫川（名広川）、小駄良川などの支流も存在し、多様な自然環境を形成しています。

文化と伝統

吉田川にまつわる文化的な行事も多く、特に注目されるのが「鯉のぼりの寒ざらし」です。この行事は、毎年大寒の前後に行われ、郡上本染で染められた鯉のぼりが吉田川の宮ヶ橋の上流で冷たい川の水に晒されます。この寒ざらしは、地域の冬の風物詩として親しまれています。

吉田川の飛び込み文化

夏には「吉田川の飛び込み」が行われ、地元の人々は新橋の欄干から川に飛び込む光景が見られます。1996年には環境省の「残したい日本の音風景100選」に選ばれ、この活動は地元の子どもたちにとって象徴的な夏のイベントとなっています。もともとは小中高校生が近くの岩場から飛び込む遊びから始まったものであり、その中でも新橋からの飛び込みは特別な意味を持ちます。新橋の欄干から飛び込むことは、地域の子どもたちにとって憧れであり、初めて飛び込む際は上級生の付き添いが義務付けられています。

飛び込みコンテストの歴史

1990年からは「清流吉田川ジャンプコンテスト」として知られるイベントも開催され、後に「吉田川変装ジャンプコンテスト」と名を改めて行われましたが、2006年をもって終了しました。このイベントでは、参加者がさまざまな仮装をして新橋から飛び込む姿が見られ、そのユニークさが競われました。しかし、安全上の理由からこのイベントは中止されることとなりました。

安全性についての懸念

人気の活動である一方で、近年は事故も報告されています。地元以外の人々も参加するようになり、特に安全が危惧されています。例えば、2003年には愛知県の男子高校生が飛び込んで溺れた事故があり、また2005年には東京都の女子大学生が撮影目的で飛び込んで命を落とす悲劇もありました。このような事故を鑑みると、吉田川での飛び込みは決して安全ではないことを忘れず、細心の注意を払うことが求められます。

終わりに

吉田川はその自然美や文化的な魅力を持つ地域として、多くの人々に親しまれています。地元の伝統行事や風物詩を体験し、自然の中での活動を楽しむことができる特別な場所として、この川は今も地域の人々の生活に深く根ざしています。

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