吉田忠一

吉田忠一：内務・厚生官僚から実業家へ

吉田忠一（よしだ ちゅういち）は、1906年（明治39年）3月生まれ、1993年（平成5年）10月22日に没した、日本の官僚、実業家です。兵庫県出身で、大阪高等学校を経て東京帝国大学法学部を卒業しました。彼のキャリアは、内務省に入省したことから始まり、戦前・戦後の日本の行政と経済の両面で重要な役割を果たしました。

初期の官僚としてのキャリア

1928年10月に高等試験行政科試験に合格した吉田は、1929年に東京帝国大学法学部を卒業後、内務省に入省し、石川県属としてキャリアをスタートさせました。その後、労働局事務官、島根県書記官・警察部長といった要職を歴任し、厚生省では会計課長、勤労局長を務めるなど、官僚としての能力を高く評価されました。

鳥取県知事としての活動

1947年2月、吉田は鳥取県知事に就任しました。この時期は戦後の混乱期であり、彼は昭和22年度当初予算の編成や、知事選挙の執行といった重要な任務を担いました。しかし、知事としての任期は短く、同年4月に退任しました。その後、埼玉県副知事に就任し、地方行政にも貢献しました。

警察予備隊と実業界へ

1950年には、警察予備隊に参加し、第1管区総監に就任しましたが、部下の不祥事の責任を取り辞職しました。その後、吉田は実業界に転身し、アジア石油常務、共同石油常務といった役職を歴任しました。これらの企業での活動は、彼の官僚としての経験が、実業の世界でも活かされたことを示しています。

まとめ

吉田忠一の生涯は、官僚としての初期のキャリアから、地方行政、そして実業界へと、多岐にわたる分野での活躍を見ることができます。特に、最後の官選鳥取県知事としての経験や、警察予備隊での活動は、戦後日本の行政機構や社会の変革期における重要な事例です。彼のキャリアは、官僚と実業家の両方の側面から、日本の近代史を考察する上で貴重な資料となるでしょう。



参考文献

歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年
* 『現代物故者事典 1991～1993』日外アソシエーツ株式会社、1994年

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