吉田拓郎・かぐや姫 コンサート インつま恋

吉田拓郎・かぐや姫 コンサート インつま恋

1975年8月2日と3日にかけて、静岡県掛川市にあるつま恋多目的広場で開催された「吉田拓郎・かぐや姫 コンサート インつま恋」は、単独アーティストによる大規模なコンサートとして、日本の音楽シーンに新たな潮流をもたらしました。このコンサートは、当時「元祖夏フェス」とも称され、フォークソングの隆盛を背景に、多くの音楽ファンを魅了しました。

コンサートの発端と背景

吉田拓郎は、前年の成功を踏まえて、さらに規模の大きなライブを夢見ていました。当時、ジョイントコンサートでは観客の反応が多岐にわたり、演者からの音楽が十分に伝わらないことが多かったため、拓郎は独自の形でコンサートを行うことを希望しました。自身の音楽に対する情熱と信念から、この大規模ライブが企画されたのです。初めは中津川での開催を目指しましたが、様々な事情からつま恋での開催が決定しました。

かぐや姫の参加

拓郎は、もともとは単独の演者として参加する予定でしたが、コンサートの内容を充実させるためにかぐや姫を招くことを決めました。彼の強い希望により、かぐや姫はこの場限りの再結成を果たし、そのステージを共にすることとなります。このような経緯から、コンサートはただのジョイントライブではなく、二つの異なるステージが融合する形をとりました。

地元住民と行政の反発

コンサートの準備段階では、地域の理解を得るのが難航しました。地元の住民や行政からの反対意見が多く、さらには青少年の夜間外出禁止に関する条例が障壁となりました。しかし、地元の理解を得るために多くの努力がなされ、関係者たちは「静かに聴く音楽」だという点を強調しました。

開催当日

8月2日、予定より早く開場され、約3万人が集まったのです。多くの人々が長時間歩いて会場に向かい、入場口には長蛇の列ができました。混雑や暑さの中、観客は熱気に包まれ、初の試みとなるオールナイトライブがスタートしたのです。

コンサートの内容と参加者

コンサートは計12時間に及び、吉田拓郎と彼の仲間たちが交互にステージに立ちました。特に印象深かったのは、拓郎が観客に向けて「朝までやります」と叫んだ瞬間であり、コールアンドレスポンスが生まれ、会場全体が一体化した瞬間でした。このように、一夜限りの音楽の祭典は、実に108曲に及ぶ大合唱で幕を閉じました。

影響と意義

このコンサートは、日本の大規模な音楽フェスの先駆けとなり、「つま恋」という場が多くの音楽イベントの雛形となるきっかけを作りました。また、フォークソングのクライマックスを迎えた1975年のこのイベントは、後のニューミュージック、J-POP時代の幕開けを予示するものとなったのです。コンサートは多くの音楽ファンにとって、ただの音楽イベントではなく、心の底から楽しめる共同体験となりました。

まとめ

「吉田拓郎・かぐや姫 コンサート インつま恋」は、単なるコンサートの枠を超え、音楽のあり方を変えるきっかけとなりました。日本の音楽史に残るこのライブは、その後のイベント文化に大きな影響を与え、今なお多くのファンに愛され続けています。

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