吉田玉造

吉田玉造一族の人形浄瑠璃への軌跡

吉田玉造（よしだ たまぞう）は、幕末から明治にかけて活躍した人形浄瑠璃の人形遣いであり、彼の一族は日本の伝統芸能に深い足跡を残しています。吉田玉造には初代から4代目までの人形遣いが存在し、それぞれがユニークな才能を発揮しました。

初代 吉田玉造（1829年 - 1905年）

初代玉造は、大坂に誕生し、本名は吉倉玉造でした。幕末期に多くのファンを魅了した人形遣いで、初舞台は1839年に行いました。特に「傾城阿波の鳴門」のおつるを演じてから、その名は広まり、当時の名手とも称されるようになりました。彼は様々な役柄を演じることができ、立役や道化、宙返りなど多彩な演出が人気を博しました。1872年に松島文楽座で紋下となり、舞台のトレンドを作り出す存在としても知られました。1893年には「五天竺」の孫悟空を演じ、大入りの記録を樹立したことでも名高いです。病気により1903年に引退し、その後の引退興行は東京でも行われました。初代玉造の子どもたちもその才能を引き継いでいきました。

2代目 吉田玉造（1866年 - 1907年）

2代目玉造は、初代玉造の実子で、本名は津田源吉でした。彼は9歳で松島文楽座に出座し、1876年に吉田玉七、1889年に2代目玉助を襲名しました。1906年には二十四孝の中で女性役を見事に演じ、2代目玉造としての名声を確立しました。しかし、同年に肺炎を患い、休業中に帰らぬ人となりました。多くの当たり役を持ち、特に「紙屋治兵衛」や「菅原伝授手習鑑」の管丞相が人気を集めました。

3代目 吉田玉造（1860年 - 1926年）

3代目玉造は、大坂生まれで、本名は中野卯之助でした。彼は初代玉助の門下で修行し、1878年に初舞台を果たしました。その後、様々な劇場で活躍し、1909年には3代目玉造を襲名しました。2代目玉造の遺族からの苦情を受け、玉蔵に改名しましたが、彼の演技は立役や女方の両方で高く評価されました。

4代目 吉田玉造（1885年 - 1948年）

4代目玉造は、本名林安太郎で、1885年に生まれました。弟も松竹新喜劇で活躍し、文化を盛り上げました。彼は1899年に文楽座でデビューし、様々な劇団を転々としながら、1917年に2代目玉松を襲名しました。その後、体調を崩しながらも舞台での活躍を続け、「太功記」や「国姓爺」などの作品でその技術を示しました。1948年に亡くなった後も、彼の名跡は多くの人形遣いに影響を与え続けています。

おわりに

吉田玉造一族は、名人としての活躍のみならず、日本の伝統文化を未来へ継承する役割を果たしました。彼らの素晴らしい業績は、今なお多くの人々に愛され続けています。

もう一度検索