吉田能安

吉田能安 — 日本の弓道の革新者

吉田能安（よしだ よしやす、1891年9月26日 - 1985年11月15日）は、日本の弓道において革新的な役割を果たした人物であり、正法流を創始しました。岡山県高梁市出身の彼は、幼少期から特異な環境で育ち、さまざまな経験を経て弓道家としての道を歩むことになります。

生い立ちと教育

吉田は、旧備中松山藩士の家に生まれ、両親の早逝後は祖父に育てられました。祖父からは剣術を学び、旧制高梁中学を経て1909年に早稲田大学予科に入学。初めは剣道部に参加し、その後商科に進みましたが、弓術と出会ったことで人生の道が大きく変わります。

大学中退と多様な経験

早稲田大学在学中に中退し、京都帝国大学へ進むも聴講生としての生活を選びました。その後、中国での貿易を経て1922年に帰国し、結婚を果たしました。この時期に彼は思想運動に関与し、さらには武士道の普及を志す心理へと変化します。

弓道との出会いとその後の活動

仙台での経験により、弓道の大家である阿波研造に師事こととなります。1928年に東京に戻り、自身の道場「遊神館」を設立。その後、1930年に計理士の免許を取得し、正道の追求を続けていきます。1941年には陸軍士官学校の教官として活動し、全国武道大会での特別演技で名を馳せました。

戦後の弓道の復活

第二次世界大戦後、弓道は禁止されましたが、吉田はGHQに交渉し、弓道の復活に尽力しました。1947年には全日本弓道連盟を設立し、1948年には国民体育大会での弓道復活を達成。彼の教育者としての姿勢は、弓道界の発展に寄与しました。

正法流の誕生

吉田は、強弓を扱う中で、離射時に弓が飛ぶことが問題視されたことから、独自の射法「日置流竹林派正法流」を完成させました。これにより、彼は射技術の革新と復活に貢献しました。阿波から受けた評価は高く、吉田の技術は弟子たちにも伝授されました。

最後の活動と遺産

吉田能安は1985年、95歳で亡くなるまで自身の道場で後進の指導を行いました。彼の遺品は高梁市に寄贈され、1997年には高梁文化交流館で遺品展が開催されています。また、2016年には高梁館がオープンし、彼の功績が後世に伝えられています。彼の生涯は、日本の弓道界に多大な影響を与え、今もなお多くの人々に尊敬されています。

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