吉祥寺プラザ

吉祥寺プラザの概要

吉祥寺プラザは、かつて東京都武蔵野市吉祥寺本町に位置していたミニシアター（小規模映画館）です。1956年9月8日に吉祥寺東映劇場として開館し、1997年7月12日に吉祥寺プラザへと名称を変更しました。2024年1月31日に惜しまれつつ閉館しました。

216席の1スクリーンを有し、デジタル上映や3D上映にも対応していました。全席自由席で各回入替制を採用していました。かつては手書きの看板が掲げられていましたが、後に黒地に白抜きゴシック体のロゴに変更されました。また、吉祥寺東興ビルの最上階（屋上）には、吉祥寺プラザが運営するバッティングセンターがありました。

経営母体は東興映画です。

歴史

旧館時代（1956年～1979年）

1956年9月8日、吉祥寺東映劇場は東映封切館として開館しました。最初の上映作品は『忍術快男児』と『髑髏銭』の二本立てでした。東映の直営館ではなく、東興映画が経営していました。開館時の支配人は荒井直一でした。

1958年頃の日本の映画観客数がピークを迎えた時代には、吉祥寺には9館もの映画館がひしめき合っていました。吉祥寺東映では、片岡千恵蔵主演の時代劇映画や高倉健主演の任侠映画などが人気を博しました。

なお、吉祥寺東映劇場の東隣には、武蔵野映画劇場（後の吉祥寺バウスシアター）がありました。

吉祥寺東興ビル時代（1979年～）

1977年には、千葉市の新[[東宝]]直営館などを再建してきた平野一郎が吉祥寺東映劇場の支配人に就任しました。1979年5月には、現在の吉祥寺東興ビルが竣工し、吉祥寺東映劇場は同ビル内に移転しました。

平野はアニメーション[[映画]]の隆盛を予見し、アニメ映画に注力しました。国鉄中央本線沿線の荻窪駅から国分寺駅周辺で割引券を配布するなど、集客に尽力しました。

また、平野の知人である東宝映画関係者が、吉祥寺での『もののけ姫』（宮崎駿監督）の上映先に困っていたことがきっかけで、東映本社など関係各所に交渉を行い、1997年7月12日に吉祥寺プラザと改称し、東宝作品である『もののけ姫』を上映しました。これは、前日まで東映作品『失楽園』（森田芳光監督）が満員となっていた状況からの転換であり、業界関係者を驚かせました。

『もののけ姫』は21週間のロングラン上映となり、吉祥寺プラザだけで1億5000万円もの興行収入を記録しました。その後、吉祥寺プラザは映画配給元の制約を受けない独立系映画館となり、東宝系のアニメーション作品を積極的に上映するようになりました。

東興映画が経営していた三軒茶屋東映は、名画座としてリニューアルし、三軒茶屋シネマと改称した後、2014年7月22日に閉館しました。

閉館

2020年に放送されたテレビアニメ『呪術廻戦』第1期には、吉祥寺プラザの外観をモデルとした映画館「キネマシネマ」が登場し、アニメファンによる聖地巡礼の地としても注目を集めました。

しかし、館内設備の老朽化が進み、大規模改修に必要な収益を確保することが困難となったため、2024年1月31日をもって閉館しました。最終上映作品は『君たちはどう生きるか』と『もののけ姫』でした。

吉祥寺プラザは、その長い歴史の中で、吉祥寺の映画文化に多大な貢献を果たしました。

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