同和教育研究指定校

同和教育研究指定校について

同和教育研究指定校とは、特定の地域に同和地区を持つ公立の小学校や中学校を対象に、同和教育の質を向上させるための文部省の施策です。この事業は、学校単位での「研究指定校」と学区単位での「推進地域指定」の2種類があり、各自治体の教育委員会がこれを担当します。原則として指定期間は2年間ですが、教育の現場においては長期的な改善が求められています。これらの学校は「同和教育推進校」とも呼ばれ、教育現場における人権意識の啓発に重要な役割を果たしています。

歴史的背景

この事業の基礎は、1969年に制定された「同和対策事業特別措置法」に遡ります。この法律は、被差別部落の環境改善や差別の解消を目的として、国および各地方自治体に具体的な対策を講じることを義務づけました。文部省は、同和地区を抱える学校を指定し、先進的な教育実践を行うことで、差別意識の解消と教育の平等を実現しようとしました。

指定校の取り組みは、大きく分けて3つの柱から成り立っています。まず一つ目は、心理的な差別をなくすための施策です。これは、被差別部落の子供たちが自己肯定感を持てるよう支援することを目指しています。二つ目は、部落内の子供たちに対して教育的支援を行い、高校進学率の向上など、学力面での格差を解消することです。このような支援策により、彼らが平等に教育を受けられる環境を整えました。最後に、これらの施策の相乗効果を高めるための様々な条件整備です。

具体的な取り組み

指定校では、進路指導だけでなく、保健衛生面への配慮や奨学金の提供など、幅広い教育サポートが図られています。さらに、同和教育の向上や指導者の育成を目的とした研究成果の発表会も行われるなど、実践的な取り組みが促進されています。また、地域社会における社会教育の機会を提供する活動も重要視されています。具体的には、地域の隣保館での識字教育や各種講座の開催、同和教育集会所の整備などが含まれます。

とはいえ、これらの取り組みは時に同和教育自体ではなく、同和対策事業としての側面が強調され、後に批判の対象となることもありました。このような背景から、1997年には「人権擁護施策推進法」が施行され、同和地区の改善にとらわれないもっと広範な人権教育の研究・モデル事業へと変化を遂げています。

近年の動向

現在では、これらの学校は「人権教育研究指定校」という名称で呼ばれ、2005年の時点で全46都道府県に126校が指定されています。さらに、各都道府県や市町村で同様の取り組みが行われており、長野市では同和地区の有無にかかわらず全市立小中学校を「学校同和教育推進校」として指定している例もあります。東京都でも「人権尊重教育推進校」という名称で独自に50校が指定されています。

結論

同和教育研究指定校の取り組みは、単に教育現場の改善を目指すだけでなく、広範な人権教育の充実へとつながる重要な枠組みとしての役割を持っています。今後もこのような施策を通じて、地域社会における人権意識の向上が期待されています。

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