同性愛とカトリック

ローマ・カトリック教会と同性愛：公式見解と内部の葛藤

ローマ・カトリック教会は、同性愛行為を自然法に反する罪深いものと位置づけています。この見解は、性行為の本質を神の三位一体と結びつけ、異性間の結合を神の意思と捉える教会の教義に基づいています。同性愛行為は、この枠組みから逸脱した行為とみなされ、罪深いとされています。ただし、同性愛の衝動を持つ者への迫害や暴力には反対しており、同情と理解を示すよう求めています。

教会の公式見解と対応

教会は、同性愛の衝動を持つ信者に対し、貞節な生活を送るよう促しています。ニューヨーク市の枢機卿らが設立した「カレッジ・インターナショナル」は、性行為に関する教皇庁の意向を遵守するための支援組織として活動しています。また、カトリック医師会は、同性愛的欲求を治療可能なものと捉え、貞節な生活を目標とした治療を提唱しています。

内部からの議論と異論

教会の公式見解に対しては、聖職者や信者、神学者などから多くの議論や批判が提起されています。公式見解に異議を唱えた結果、職を解かれた神学者もいます。

チャールズ・カラン神学教授は、肉体的な行為のみで道徳性を判断することの不適切さを指摘し、教会による発言の抑圧を批判しました。ジェームズ・アリソン司祭は、教皇ベネディクト16世の見解が福音書と整合していないと主張しました。ギャレス・ムーア司祭は、教会が性の問題に過剰な懸念を抱いていると指摘し、性の意味は個人の解釈によって形成されると主張しています。

ニュー・ウェイズ・ミニストリーを設立した神父らは、同性愛行為がカトリック教義に反しないという誤った認識を与えたとして懲戒を受けました。他の聖職者も同様の批判を受け、職を追われた例もあります。一方、ドイツやアイルランドなどでは、同性愛者カップルに対するシビル・ユニオンの容認を支持する聖職者もいます。

公式見解の擁護

多くのカトリック信者は、教会の公式見解を支持し、見直しの動きに批判的です。ジョージ・ペル枢機卿やフランシス・アリンツェ枢機卿は、同性愛が家族を破壊すると強く批判しています。ベネディクト16世の教皇選出後、教理省は、同性愛傾向を持つ者や「ゲイ・カルチャー」を支持する者の聖職就任を禁じる「手引き」を発表しました。

まとめ

ローマ・カトリック教会における同性愛をめぐる議論は、教会の教義と現代社会の価値観との間で複雑な葛藤が続いていることを示しています。公式見解は揺るぎないものとして維持されていますが、内部には様々な意見や立場が存在し、活発な議論が続けられています。この問題は、教会の未来においても重要な課題として残るでしょう。

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