同級生 (森昌子の曲)

同級生（森昌子）

『同級生』（どうきゅうせい）は、日本の歌手である森昌子によって1972年10月5日にリリースされたシングル盤楽曲です。これは、彼女にとってキャリアにおいて通算2枚目となるシングルとして世に送り出されました。この楽曲は、当時新人歌手として注目を集めていた森昌子の名前をさらに広める一助となりました。

収録曲

このシングルには、以下の2曲が収録されています。両楽曲ともに、作詞は昭和歌謡界を代表する作詞家の一人である阿久悠、作曲は数々のヒット曲を手掛けた国民的作曲家・遠藤実、そして編曲は只野通泰が担当しました。歌謡曲黄金期を支えた名クリエイターたちが顔を揃えています。

同級生（3分24秒）
初恋の赤い傘（3分22秒）

楽曲について

A面に収められた表題曲「同級生」は、青春時代の淡い思い出や同級生への切ない感情を描いた叙情的な作品です。阿久悠による詩は、思春期の揺れ動く心を繊細に表現しており、遠藤実によるメロディラインは、聴く者の心に寄り添うような温かさと懐かしさを湛えています。只野通泰による編曲は、楽曲の世界観を支え、森昌子の歌声を際立たせています。

この楽曲の特筆すべき点の一つとして、そのユニークなサウンドが挙げられます。具体的には、楽曲の前奏、間奏、そして後奏といった各パートの終わり近くで、特徴的なオカリナの音色が響くことです。このオカリナの音は、意図されたものなのか、あるいは録音上の偶然の産物なのかは定かではありませんが、どこか牧歌的でありながら、聴く人によってはわずかに音程が不安定に感じられる瞬間が含まれており、それが楽曲に独特の味わいを与えています。

B面に収録されている「初恋の赤い傘」もまた、作詞・作曲・編曲を同じ布陣が手掛けており、表題曲と同様に青春時代の情景や初恋の甘酸っぱさを描いた楽曲であると推察されます。シングル盤において、A面とB面が同じテーマや世界観で統一されていることは、当時の歌謡曲においては一般的な手法でした。

エピソード

「同級生」の持つ特徴的なオカリナの音は、後年、ある落語家の間で話題となりました。7代目笑福亭松喬は、このオカリナの響き、特にそのわずかに揺れる音程に面白さを見出し、自身のラジオ番組内で活用しています。

具体的には、ABCラジオで放送されているナイターオフ番組『伊藤史隆のラジオノオト』内における、彼が進行を務めるコーナー「笑福亭松喬の一笑懸命」において、同窓会に関するトークを展開する際、その話題を締めくくる際に定番曲として「同級生」を選んでオンエアしているのです。このエピソードは、楽曲が持つユニークな要素が、時代やジャンルを超えて新たな文脈で楽しまれている好例と言えるでしょう。笑福亭松喬のこの選曲によって、楽曲「同級生」は再び多くのリスナーの耳に触れる機会を得ています。

関連情報

このシングルが発売された1972年は、日本の音楽シーンが多様化しつつあった時期にあたります。歌謡曲が依然として大きな勢力を持つ一方で、ニューミュージックやフォークソングといったジャンルも台頭し、新たな才能が次々と現れていました。森昌子のような若手アイドル歌手が登場し、人気を集め始めていたのもこの頃の特徴です。翌年の1973年も引き続き、音楽業界は活況を呈し、多くのヒット曲が生まれました。「同級生」は、まさにそうした時代の流れの中で生まれた、日本の歌謡曲史における一曲と言えるでしょう。

「同級生」は、森昌子のキャリア初期を彩る代表曲の一つとして、今なお多くの人々の記憶に残る楽曲であり、その特徴的なオカリナの音色と共に語り継がれています。

もう一度検索