只野通泰

只野通泰（ただのみちやす）について

只野通泰は1923年12月18日に宮城県白石市で生まれ、2015年7月18日に91歳でこの世を去った日本の作曲家および編曲家です。その業績は日本の歌謡曲界において非常に重要な役割を果たしており、特に彼の編曲によって多くの大ヒット曲が生み出されました。

人生の初期と教育

1944年に日本大学芸術学部音楽科の作曲専攻を卒業し、音楽的な基盤を整えました。しかし、終戦を迎えると彼は清津でソ連軍と交戦し、捕虜としてシベリアに抑留されることになります。この間、只野は仲間の士気を高めるため、アコーディオンを使って吉田正作曲の「異国の丘」を歌い、多くの同胞に勇気を与えました。この様子は日本国内でも報道され、後に「異国の丘」が大ヒットとなる際にも影響を与えたと言われています。

音楽活動の始まり

1949年に復員し、東京都文京区立第六中学校で音楽科教諭としての活動を始めた中で、只野は吉田正と運命的な出会いを果たします。彼の編曲キャリアは、和田弘とマヒナスターズの「夜霧のエアーターミナル」での初仕事を皮切りに始まります。その際、只野は急遽14時間で編曲を完成させ、レコーディングに間に合わせたという逸話があります。

このように、只野は吉田正の曲の多くを編曲し続け、彼の音楽に色を加える存在となっていきますが、当時は編曲者がクレジットされる習慣がなかったため、彼がどの曲を編曲したのか確認するのは難しい場合が多いです。

彼の代表作

只野通泰の編曲で知られる曲には、橋幸夫の「潮来笠」や橋幸夫と吉永小百合のデュエット曲「いつでも夢を」など、数多くの名曲があります。また、遠藤実の作品にも多く携わっており、森昌子による「せんせい」や「中学三年生」、渥美二郎の「夢追い酒」なども彼の手によって編曲されました。これらの作品は、日本の歌謡曲におけるスタイルの基礎を築いたとも評価されています。

受賞歴と晩年

彼の長年にわたる活動は高く評価され、2004年には第25回松尾芸能賞を受賞し、さらに2015年には第57回日本レコード大賞の特別功労賞も贈られました。只野は心筋梗塞のため2015年に死去しましたが、彼の影響力は音楽界で今もなお息づいています。彼の編曲した数々の楽曲は、多くの人々の心に残り続け、今後も歌い継がれていくことでしょう。

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