名古屋刀剣ワールド

名古屋刀剣博物館「名古屋刀剣ワールド」

名古屋刀剣博物館「名古屋刀剣ワールド」は、一般財団法人刀剣ワールド財団によって運営される、日本の刀剣美術を中心とした企業博物館です。名古屋市の中心部、栄に位置する「栄タワーヒルズ」の敷地内にあり、2024年5月1日に開館しました。

この博物館は、日本最大級の刀剣博物館として知られ、約550振もの日本刀を所蔵し、そのうち約200振が常時展示されています。2025年6月時点の収蔵品には、国宝1振、重要文化財10振、重要美術品46振、特別重要刀剣63振といった貴重な日本刀が含まれており、そのコレクションの質の高さがうかがえます。日本刀以外にも、甲冑、火縄銃、浮世絵など、日本の武具や美術品を幅広く収蔵・展示しています。

設立の背景と目的

この博物館の設立は、日本の伝統工芸や伝統美術の保存、普及、発展を目的としています。また、名古屋市の観光振興への貢献も目指しています。コレクションの核となっているのは、運営母体である東建コーポレーションの創業者である左右田稔氏が40年以上にわたり情熱を注いで収集した日本刀や甲冑です。これらの貴重な品々に加え、火縄銃や馬具、浮世絵などの美術品も収められています。

当初は栄タワーヒルズの完成後、2020年6月に開館が予定されていましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大や、収蔵品の増加に伴う増設工事などにより延期が重ねられ、当初計画から約4年遅れての開館となりました。

施設と展示

博物館は、栄タワーヒルズ本館の2階および3階と、隣接する北館で構成されており、延べ床面積は約5049平方メートルにおよびます。黒川紀章氏がデザインした栄タワーヒルズ本館の2階には、甲冑の展示ゾーンや、甲冑姿の人形と記念撮影ができるコーナー、壁3面に映し出されるインタラクティブな映像シアターがあります。また、日本刀を月替わりで鑑賞できる和カフェ「有樂」も併設され、飲食と共に刀剣や歴史に関する書籍を自由に閲覧できます。

北館は地上7階建てで、各フロアに特色のある展示や施設が配置されています。

1階: ミュージアムショップとコインロッカー。2～4階への階段は「浮世絵階段ギャラリー」として利用されています。
2階: 常設展示室。解説付きで日本刀が展示されています（例：「太刀 銘 豊後国行平作」）。
3階: 企画展示室。日本刀だけでなく、浮世絵や戦国武将の書状なども展示されます。
4階: 特別展示室。博物館の目玉となるフロアで、国宝「有楽来国光」や重要文化財指定の日本刀が並びます。
5階: 資料室。
6階: 畳敷きの学習室。日本刀鑑賞に適した照明や大型スクリーンを備え、鑑賞会や講演会、イベントなどに利用できます。茶室としての機能も有しています。
* 7階: 黒を基調とした和風の屋上庭園となっています。

展示品は、日本刀、甲冑、槍、薙刀、火縄銃、浮世絵など多岐にわたります。浮世絵は月岡芳年や歌川国芳の武者絵を中心に500点以上を所蔵しており、また火縄銃や古式西洋銃も約350挺が常設展示されています。

主な収蔵品

特に注目される収蔵品として、国宝に指定されている「短刀 銘 来国光（名物 有楽来国光）」があります。これは織田信長の弟である織田長益（有楽斎）が豊臣秀頼から拝領したとされる短刀で、刀剣ワールドではその華やかな刃文や流麗な地鉄、覇気ある姿を高く評価しています。

重要文化財に指定されている日本刀は、「短刀 銘 備州長船住長義 正平十五年五月日（名物大坂長義）」、「太刀 銘 備州長船住景光」、「太刀 銘 来国光」など10振を数えます。また、重要文化資料に指定された甲冑も12領所蔵されています（例：黒漆塗練革札歯朶韋威胴丸具足）。

これらの所蔵品の一部は、名古屋市や三重県にある関連施設でも一般に公開されています。

アクセス

名古屋刀剣ワールドは、名古屋市営地下鉄の各駅から徒歩圏内にあり、大須観音駅（鶴舞線）から徒歩約9分、矢場町駅（名城線）から徒歩約10分、伏見駅（東山線）から徒歩約12分です。また、市営バスや名鉄バスのバス停からも近く、自動車の場合は名古屋高速の各ICからアクセス可能です。敷地内には5台分の駐車場も用意されています。

名古屋刀剣ワールドは、日本の武具や美術の奥深さを多角的な展示手法で伝える新しい文化施設として、多くの来館者を迎えています。

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