名古屋市交通局の半鋼製単車

名古屋市交通局の半鋼製単車

名古屋市交通局がかつて運行していた半鋼製単車は、名古屋市電用の電車であり、1935年から1939年の間に製造された二軸車のことを指します。この電車は、旧型の木造単車を改造して作られたもので、通称「改造単車」として知られています。合計で54両が製造され、車両番号は151から204まで付与されましたが、1950年代からの老朽化と戦時中の戦災により、1956年には全車が廃車となりました。

登場の背景

1930年代初頭、名古屋市電気局が名古屋電気鉄道を引き継いだ際、市営電車は当初木造の単車やボギー車を使用していました。時が経つにつれ、木造車両の劣化が進み、新型車両の導入が求められるようになりました。特に木造単車は老朽化が進み、使用に耐えなくなっていったため、半鋼製単車の開発が始まりました。これにより、電車のサービス向上が図られ、バスとの競争能力を高める狙いもありました。

車両の特徴

製造は1935年から1939年にかけて行われ、製造時期によって外観に違いが見られます。最初の試作車は1935年に製造され、流線型のデザインを採用しています。また、塗装は下部が緑色、上部が黄色、屋根が銀色とされ、非常に特徴的です。これらの電車は、50人の定員を持ち、電動機や台車は種車から流用していますが、乗降口の高さを低く設定したため、客室内に急な傾斜が生まれるという問題もありました。

廃車事情

太平洋戦争中、電車は戦災を受け、特に152・166・177の3両が影響を受けました。その後、事故や老朽化により次々と廃車が進み、1956年には残っていた全ての車両が廃車されることになりました。具体的な廃車日は記録に残されており、廃車の進行は年々加速していきました。

花電車への改造

1956年末には、残存する車両のうち7両が花電車に改造されました。この改造は、特別な装飾を施し、主にイベントやお祭りで運行されるためのものでした。運行頻度は少なかったものの、特定の車庫で保管されていましたが、その後、1960年代に入ると、余剰のボギー車が花電車に改造されることとなるため、半鋼製単車の花電車は徐々に姿を消していきました。

譲渡と保存

1957年には、豊橋鉄道に16両が譲渡され、これらの車両は再利用されていましたが、最終的には1968年まで使用された後、役目を終えました。また、保存された車両は179号車ただ一両で、名古屋市中区の公園で集会場として利用されているものの、台車は失われてしまっています。

主要諸元

• - 製造年: 1935年から1939年
• - 製造所: 名古屋市電気局西町工場
• - 定員: 50人
• - 自重: 8.3トン
• - サイズ: 長さ8,475mm、幅2,337mm、高さ3,530mm

それぞれの時代背景や諸元からも、名古屋市交通局の半鋼製単車は、その歴史的意義と役割を持った重要な設備であったことが伺えます。特に、都市交通の変化や発展において、新旧の技術が融合した結果生まれたこの電車は、名古屋の街の発展に大きく寄与しました。

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