名古屋市交通局協力会東山公園モノレール

東山公園モノレールの概要

東山公園モノレールは、愛知県名古屋市千種区に位置する東山公園内にて運営されていた懸垂式モノレールです。このモノレールは1974年までの約10年間、多くの訪問者に親しまれました。その運営は名古屋市交通局協力会が行い、名古屋市交通局が技術的な保守管理を担当していました。実際、東山公園モノレールは、三菱重工業がフランス企業との技術提携によって導入した「サフェージュ式」を日本で初めて採用した例でもありました。

路線のデータ

このモノレールは471メートルの路線長を持ち、運行には1両の車両が使用されていました。当初の運賃は大人片道20円、小人片道10円でしたが、廃止時にはそれぞれ100円、50円にまで引き上げられていました。また、開通から廃止までの乗客数は約248万人に達しました。

歴史と沿革

1964年2月8日に開業し、最初は非常に人気がありました。しかし、1974年6月に運行を休止し、同年12月18日に正式に廃止されました。開業当時は、植物園と動物園を結ぶ「湖畔電車」が運行していましたが、混雑から本格的な輸送手段が必要となり、モノレールの導入が決定されました。

モノレール導入の背景

導入にあたっては、運行時の騒音や振動が少なく、動物の飼育環境に配慮された点が評価されました。また、懸垂式モノレールは高架建設が可能で、急勾配の敷設も容易なため、立地選定の自由度が高いのも特長でした。

モノレールの人気と特徴

開業直後、東山公園モノレールは多くの来園者を魅了しました。一時は複数本の列車待ちが必要なほどの繁盛ぶりを見せ、特に「ウルトラマン」との関連が強調される等、子供たちの間で一大ブームを起こしました。しかし、年月が経つにつれて利用者が減少し、「遊戯施設」から単なる輸送手段として認識されるようになりました。

廃止の理由

廃止に至った主な理由として、動物園駅の立地が不便だったことや、更新修繕に投じる費用対効果が見込めなかった点が挙げられます。また、運転士が退職に伴い新たな養成が難しくなったことも影響しています。1974年には運行が停止し、その後廃線となりました。現在、旧植物園駅にて当時の車両が静態保存されています。

モノレールの影響

東山公園モノレールから得られたデータや技術は、後に開業する湘南モノレールや千葉都市モノレールなどにも活かされています。今でもその影響は色濃く、懸垂式モノレールの設計においては優れた基盤となりました。

終わりに

1987年には、東山公園に新たな遊戯施設が導入され、動物園と植物園を結ぶ新しい方式のモノレールが開業しましたが、初代の東山公園モノレールは、そのユニークな歴史と技術的な意義により、多くの鉄道ファンや地元住民の記憶に残る存在として評価されています。

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