名古屋都ホテル

名古屋都ホテル：高度経済成長期の象徴と時代の波

名古屋都ホテルは、愛知県名古屋市中村区名駅に存在した、近鉄グループのホテルです。1963年、東海道新幹線開業前年の高度経済成長期に開業しました。その歴史は、1947年開業の中央ホテル（開業時は中京ホテル）にまで遡ります。中央ホテルは愛知県、名古屋市、名古屋鉄道、日本交通公社が共同で設立したホテルで、後に近鉄グループ傘下となりました。老朽化のため閉鎖された中央ホテルを建て替える形で、名古屋都ホテルは誕生しました。

村野藤吾による近代的な設計と「駅前ホテル村」

名古屋都ホテルの意匠設計は、著名な建築家である村野藤吾が担当しました。アルミの窓枠など、当時としては斬新なデザインが注目を集め、名駅周辺に同時期にオープンした他のホテルと共に「駅前ホテル村」と呼ばれていました。開業時は300室を誇り、中京地区最大級のホテルとしてその名を馳せました。その後、1970年には東側を増築し、客室数は400室に拡大しました。

プロ野球球団の定宿地としての側面

名古屋都ホテルは、様々な用途に使用されました。特に、読売ジャイアンツなどプロ野球球団の定宿地として利用されることも多く、球界関係者にも親しまれていました。しかし、時代の流れとともに新たなホテルの開業や宿泊需要の変化により、次第に客足が遠のいていきました。

閉業と跡地利用

このような状況の中、名古屋都ホテルは2000年3月に営業を終了しました。近鉄グループはその後、名古屋駅周辺に「都ホテル」ブランドのホテルを展開していません（近鉄グループ全体では、三交インが名古屋駅新幹線口と伏見にホテルを展開）。跡地はトヨタグループの東和不動産に売却され、現在は豊田通商やピカデリー（映画館）などが入るセンチュリー豊田ビルとして利用されています。

再開発と復活への期待

2017年には、近鉄名古屋駅と名鉄名古屋駅の一体再開発に伴い、都ホテルブランドの復活が検討されていることが報道されました。近鉄パッセの一部をホテルに転用する案などが浮上していますが、名鉄グランドホテルとの客層の住み分けなど、様々な課題も存在します。都ホテルブランドが名古屋に再び登場する日は、まだ不透明です。

関連施設とエピソード

名古屋都ホテルの名前に因んで名付けられた「ミヤコ地下街」は、ホテルと同じ1963年にオープンし、現在も営業を続けています。また、近鉄12000系電車（スナックカー）のスナックコーナーは、名古屋都ホテルが運営していた時期があり、「みやこコーナー」と呼ばれていました。さらに、名古屋都ホテルは1984年に四日市都ホテルの運営会社を吸収合併し、姉妹ホテルとして運営していました（現在は近鉄ホテルシステムズが運営）。

名古屋都ホテルは、高度経済成長期から現代まで、名古屋の歴史と発展を間近で見てきたホテルでした。その栄光と終焉、そして復活の可能性は、時代の移り変わりを象徴する一つの物語と言えるでしょう。

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