名島火力発電所

名島火力発電所について

名島火力発電所（なじまかりょくはつでんしょ）は、福岡市東区名島に位置していた石炭火力発電所です。この発電所は1920年から1960年まで運転され、当時の九州地域に電力を供給しました。

背景と沿革

この発電所は、戦前期において重要な電気事業者であった九州電灯鉄道によって建設されました。1912年、福岡と佐賀を中心に電力を供給していたこの会社は、1916年に大規模な火力発電所の建設計画を立て、1918年には名島に用地を確保し、建設工事を開始しました。

最初の発電機は1920年3月に設置が完了し、その後も順次稼働を始めました。この発電所は2万キロワットという出力で運転を開始し、九州電灯鉄道の発電能力を大幅に向上させました。1922年には会社が東邦電力に改名され、発電所は水力発電の補完としての役割を果たしました。

発電所の拡張と技術

需要の急増に対応するため、名島火力発電所はその後も拡張され、ボイラーや発電機の増設が行われました。1938年には新たに1万キロワットの発電機が追加され、発電技術の研究所としても機能するようになりました。このように、多くの新しい技術がここで試験され、東邦電力の他の発電所にも活かされました。

所有の変化と廃止

1938年の電力管理法施行により、名島火力発電所は日本発送電に出資され、その後1951年に九州電力へと引き継がれました。廃止時の出力は46,000キロワットでしたが、新たに建設された大容量火力発電所と比較すると効率が劣ったため、1960年12月8日に廃止されることとなりました。

設備構成と跡地

名島火力発電所の設備は1953年には詳細な統計が公開されており、ボイラー、原動機、発電機が設置されていました。廃止後は発電所のシンボルであった4本の煙突が解体され、跡地は名島運動公園に生まれ変わり、当時の歴史を偲ぶ記念碑が立てられています。

このように名島火力発電所は、地域の電力供給を支える重要な役割を果たし、その歴史は福岡市の電力事業の発展に深く結びついています。

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