名探偵が多すぎる

名探偵が多すぎる

西村京太郎の長編推理小説『名探偵が多すぎる』は、1972年に講談社から書き下ろしで出版された、推理小説史に残るパロディミステリーです。前作『名探偵なんか怖くない』の続編であり、「名探偵シリーズ」4部作の第2作にあたります。

登場人物

本作には、以下の4人の名探偵が登場し、アルセーヌ・ルパンと怪人二十面相が彼らに挑戦を叩きつけます。

エルキュール・ポワロ（アガサ・クリスティ）
エラリー・クイーン（エラリー・クイーン）
ジュール・メグレ（ジョルジュ・シムノン、退職後）
明智小五郎（江戸川乱歩）

あらすじ

明智小五郎の誘いで、メグレ夫妻、ポワロ、クイーン、吉牟田刑事は、瀬戸内海を航行する観光船「あいぼり丸」に乗船します。しかし、「エコー・ド・フランス新聞」の特派員セルパンが現れ、彼らの動向を探り始めます。

そんな中、クイーンの財布が盗まれ、ルパンから挑戦状が届きます。船には宝石商の島崎が乗っており、ルパンは彼の持つ1億円相当の宝石を狙っているようです。島崎は4人の名探偵に警護を依頼しますが、彼は密室で殺害されてしまいます。現場にはルパンの声明文が残されており、名探偵たちは謎に挑むことになります。

事件は一旦収束するかに見えましたが、船長室にある横山大観の名画「富士山」を巡り、ルパンとの再戦が始まります。しかし、再び殺人が発生し、ルパンは一時休戦し、名探偵たちとは別に犯人を捜索します。果たして真犯人は誰なのでしょうか？

最後に、ルパンと怪人二十面相は、4人の名探偵と吉牟田刑事を「完全な密室」に閉じ込めます。脱出不可能な状況で、名探偵たちはどのような決断を下すのでしょうか？

登場人物詳細

ジュール・メグレ

フランスを代表する名探偵。パリ警視庁を定年退職しており、階級は警部。ルパンは殺人をしないと断言します。

メグレ夫人

夫との旅行を楽しみにしている。鋭い観察眼とユーモアのセンスを持ち合わせています。

エルキュール・ポワロ

イギリスを代表する名探偵。クイーンやアメリカ人に不快感を持っています。マッチ棒で様々なものを作る癖があります。

アレン・セルパン

「エコー・ド・フランス新聞」の東京特派員。名探偵たちの集合に疑問を持ち、取材を試みます。

エラリー・クイーン

アメリカを代表する名探偵。登場早々、ルパンに財布を盗まれてしまいます。

明智小五郎

日本を代表する名探偵。過去の事件から遠ざかっていましたが、「第2の3億円事件」で久しぶりに姿を現します。

吉牟田 晋吉

警視庁捜査一課の刑事。明智に誘われて乗船しますが、休暇を楽しめないでいます。ルパンの策略により、絶体絶命のピンチに陥ります。

セルニーヌ公爵夫人（ジュヌビエーブ）

フランスの名門貴族の美女。ルパンからのメッセージを名探偵たちに伝えます。

新井精一

「あいぼり丸」の事務長。流暢な英語を話します。

島崎

宝石商。ルパンから予告状を受け取り、その後殺害されます。

アルセーヌ・ルパン

フランスを代表する怪盗。4人の名探偵に挑戦を仕掛けます。変装が得意で、名探偵たちに近づきます。

怪人二十面相

日本を代表する怪盗で、明智小五郎のライバル。主に密室の設営を担当します。

本作の魅力

『名探偵が多すぎる』は、名探偵たちの個性が際立つユーモラスな会話劇と、本格的な推理要素が組み合わさった作品です。ルパンとの知的な駆け引きや、意外な犯人の正体など、ミステリーファンにはたまらない要素が満載です。ぜひ、名探偵たちと一緒に、謎解きの旅を楽しんでみてください。

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