名探偵も楽じゃない

名探偵も楽じゃない

『名探偵も楽じゃない』は、西村京太郎によって1973年に発表された長編推理小説です。推理小説史に残る著名な4人の名探偵が登場する、「名探偵シリーズ」の第3作として知られています。

あらすじ

物語は、推理小説マニアの同好会「MMM(Member of Mystery Mania)」が、名探偵の復古を願い、4人の名探偵を日本に招待することから始まります。会場となるホテル・オカベに、名探偵たちを歓迎する中、左文字京太郎という「名探偵」を自称する青年が飛び入り参加し、不穏な空気が漂い始めます。

歓迎会の最中、会長の岡部弘毅が急死。青酸中毒と判明し、連続殺人を予告するカードが出現するなど、次々と事件が起こります。老いた名探偵たちは、若い左文字に推理を任せますが、その真意とは一体何なのでしょうか。事件の真相、犯人の動機、そして名探偵たちが下す決断とは…？

登場人物

MMMと左文字京太郎

岡部 弘毅: MMMの会長であり、ホテル・オカベの会長。毒殺される。
新谷: MMMのナンバー2。「月刊3M」の編集長。
木島 蘭子: 詩人。メグレの大ファン。
秋葉: 書店経営者。名探偵や推理小説に関する知識が豊富。
多木田 京介: 新宿で喫茶店を経営。
笠井: S銀行の支店長。ミステリー・マニア。
高見 悦子: 専業主婦。岡部と不倫関係にある。
佐々木 具隆: 大学院生。「3M」の編集に尽力。
富士 比呂子: 女子大生。MMMの最年少メンバー。
左文字 京太郎: 名探偵を自称する私立探偵。不思議な目を持つ。

4人の名探偵と吉牟田警部補

ジュール・メグレ: フランスを代表する名探偵。パリ警視庁を定年退職。
エルキュール・ポアロ: イギリスを代表する名探偵。マッチ棒で作品を作る癖がある。
エラリー・クイーン: アメリカを代表する名探偵。鼻眼鏡をかけている。
明智 小五郎: 日本を代表する名探偵。
* 吉牟田 晋吉: 警視庁捜査一課のベテラン刑事。明智とは旧知の仲。

特徴

本作は、「閉ざされた環境での事件」（クローズド・サークル）であり、ホテル内で連続殺人事件が発生します。トリックや謎解きにはアンフェアな要素も含まれており、賛否が分かれる点でもあります。また、若い名探偵への待望論に対し、作者が皮肉な答えを用意しているという点も注目されています。

話題性

「名探偵シリーズ」の中では、他の作品に比べて話題性にやや欠けるものの、4人の名探偵の共演という魅力は健在です。シリーズを通して読むことで、より深く作品を楽しむことができるでしょう。

原典とネタバレ

本作では、一部の原典についてネタバレが含まれています。例えば、エラリー・クイーンの『Yの悲劇』や、メグレの『男の首』など、推理小説ファンにとっては注意が必要です。

まとめ

『名探偵も楽じゃない』は、西村京太郎ならではのユーモアと、本格ミステリーの要素が融合した作品です。名探偵たちの活躍、意外な展開、そしてアンフェアなトリックなど、様々な魅力が詰まっています。ミステリーファンはもちろん、これまで推理小説を読んだことがない方にもおすすめの一冊です。

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