名港中央大橋

名港中央大橋：港を繋ぐ巨大な斜張橋

名港中央大橋は、伊勢湾岸自動車道の一部として、名古屋港を横断する重要な役割を担っています。この橋は、名港トリトンと呼ばれる3つの橋梁（名港東大橋、名港中央大橋、名港西大橋）の一つであり、特にその規模の大きさで知られています。

概要

中央大橋は、名古屋市港区の潮見町と金城ふ頭を結び、全長1170m、中央径間590mの鋼斜張橋です。名古屋港を行き交う大型船舶の航行を考慮し、海面から47mの高さが確保されています。この高さと支間長は、名港トリトンの中で最大規模を誇ります。

建設には約7年の歳月が費やされました。この間、基礎工事から始まり、主桁の結合まで、数々の技術的な挑戦がありました。

特徴

中央大橋が架橋されている水域は、名古屋港のメイン航路であり、多くの大型船が航行します。そのため、橋梁は大型船の通過を妨げない規模で建設されました。しかし、近年では、さらに大型のクルーズ船が航行するようになり、橋の高さが観光客誘致の制約になるという課題も生じています。

橋の構造は、A形の主塔と橋脚で構成される3径間連続斜張橋です。金城ふ頭側の橋脚をP-1、主塔をP-2、潮見ふ頭側の主塔をP-3、橋脚をP-4と呼称します。

橋種選択の経緯

名古屋港横断道路の構想は、1964年に始まりました。当初は「夢の大橋」として計画されましたが、その後、橋梁またはトンネル方式が検討されました。10車線の道路構想が浮上した際には、橋梁とトンネルの両方が大規模な構造で計画されましたが、最終的には6車線の橋梁として建設されることになりました。

中央大橋の橋梁形式は、当初は吊り橋として計画されました。しかし、航路の位置や地盤条件などを考慮した結果、斜張橋に変更されました。この変更により、建設コストや工期が大幅に改善されました。

建設の背景

中央大橋の建設計画は、名古屋環状2号線の一部として進められました。しかし、国の財政難や船舶関係者からの反対などにより、具体的な調査は1973年以降にずれ込みました。橋梁案が正式に決定された後も、船舶航行への影響が懸念され、名古屋港管理組合が中部地方建設局に様々な要望を伝え、最終計画に反映されました。

当初、伊勢湾岸道路の一部として計画された中央大橋ですが、1989年に第二東名、第二名神高速道路のルートに組み込まれることになり、道路規格が変更されました。これにより、橋の幅員が拡大され、設計速度が引き上げられました。

建設工事

1989年12月に基礎工事が始まり、1996年6月に上部工の主桁併合が完了しました。この間、様々な困難を乗り越え、数々の新技術が導入されました。1996年7月には、主桁の連結を祝う「夢渡りフェスティバル」が盛大に開催され、多くの人々が橋の完成を祝いました。

構造の詳細

橋長: 1170m
支間割: 290m + 590m + 290m
桁下空間: T.P+47m
基礎: 場所打鉄筋コンクリート杭、ニューマチックケーソン
型式: 3径間連続鋼斜張橋
主桁: 変形六角形箱桁
* ケーブル: セミパラレルワイヤー

ケーブル

ケーブルはセミパラレルワイヤーで、直径7mmの亜鉛メッキ鋼線を束ねたものが使用されています。最も太いケーブルは直径173mmで、1本で2445tの重量を支えることができます。ケーブルは主塔から放射状に伸びており、主桁の両サイドで連結する2面吊り方式が採用されています。

歴史

中央大橋は、1998年3月30日に供用開始されました。開通以来、名古屋港の物流を支え、地域の発展に貢献しています。

まとめ

名港中央大橋は、その建設の背景、構造的な特徴、そして完成までの道のりにおいて、数々の興味深いエピソードを持っています。名古屋港を訪れる際には、ぜひこの壮大な橋を間近でご覧ください。

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