名古屋環状2号線

名古屋環状2号線：都市を繋ぐ大動脈

名古屋環状2号線は、愛知県名古屋市の外周部を走る全長約66.2kmの環状道路です。名古屋市を中心に放射状に伸びる幹線道路と連結し、名古屋都市圏における2つの環状道路の一つとして、重要な役割を担っています。

概要

名古屋環状2号線は、名古屋市道名古屋環状線の外側に建設され、増加する交通需要に対応するために計画されました。自動車専用道路である「専用部」と、一般国道である「一般部」を併設する構造が特徴です。「名古屋環状2号線」という名称は、これら専用部と一般部の総称として用いられます。具体的には、伊勢湾岸自動車道の名古屋南JCTから飛島JCT間、名古屋第二環状自動車道が専用部の路線名であり、国道302号が一般部の路線名となります。

この環状道路は、都心部への通過交通の流入を防ぎ、郊外から都心部への交通を分散させる機能、そして放射道路が通行止めになった際の迂回ルートとしての機能を発揮します。これにより、都心部の交通量を抑制し、渋滞緩和に貢献しています。また、物流拠点を環状道路周辺に集積させることで、計画的な街づくりと経済発展を促進する役割も担っています。さらに、電気、ガス、電話などのライフラインを収容する共同溝を併設し、災害対策や街の美観維持にも貢献するなど、多岐にわたる都市計画機能を有しています。

歴史

名古屋環状2号線の構想は、1962年に名古屋市から公表されました。しかし、それ以前から環状道路の必要性は関係者の間で認識されており、1957年には将来的に環状道路として繋がるように都市計画街路が決定されていました。

1958年には、愛知県地方計画において、東西経済圏を結ぶ高速道路と名古屋港を直結し、都市部の交通集中を防ぐ高規格循環道路の計画が盛り込まれました。当時は都心部への人口集中が進んでおり、産業の合理的な配置と港湾整備が重要視されていました。そのため、名古屋港と連携する産業を配置し、港と周辺産業地帯、都市を結ぶ高規格循環道路が提唱されたのです。

1960年代に入ると、自動車の普及が急速に進み、道路の整備が追いつかない状況となりました。名古屋圏では、市内交通、流出入交通、通過交通が混在し、慢性的な渋滞が発生していました。こうした状況を打開するため、新たな放射道路と環状道路の建設が計画され、名古屋市道名古屋環状線を「環状1号」、その外周部の環状道路を「環状2号」と位置付けたのです。

幾多の変遷を経て、専用部は2021年5月1日に全線開通、一般部は2011年3月28日に陸上部の全線が開通しました。

路線データ

専用部

延長：66.2 km
規格：2種1級（一部区間は1種2級）
設計速度：60 km/h（一部区間は100 km/h）
車線：4車線（一部区間は6車線）

一般部（陸上部分）

全長：58.6 km（暫定2[[車線]]供用を含む）
規格：4種1級
設計速度：60 km/h
車線：4車線（一部暫定2 - 6車線）
指定区間：全線

構造と特徴

一般部は原則として片側2車線の本線車道、バスレーン、植樹帯、遮音壁、サービス道路、そして自転車歩行者道が整備されています。一方、専用部は原則高架構造ですが、地形の変化が激しい東半分では、半地下およびトンネル構造が組み合わされています。

名古屋環状2号線の標準断面図は、高架構造と半地下構造の組み合わせを示しています。一般部の上または下に高速道路（専用部）が配置される2階建て構造となっており、一般部は沿道の地盤と同一高さで平面交差、専用部は高架または掘割で立体交差となっています。専用部と一般部、または交差する道路との連絡は、ランプウェイによって行われます。

環境対策

環状2号線は、環境対策にも配慮した設計がなされています。沿道には環境施設帯（バッファーゾーン）が設けられ、遮音壁、植樹帯、サービス道路が配置されています。植樹帯は排気ガスや騒音を抑制し、景観に潤いを与える役割を果たします。また、専用部の半地下区間には、騒音対策として吸音材を使った蓋が取り付けられています。

地球温暖化対策として、太陽光発電による電力供給も行われています。高針JCT - 名古屋南JCT間の半地下区間には太陽光パネルが設置され、道路照明に必要な電力を賄っています。

ランドマーク

名古屋環状2号線には、いくつかのランドマークとなる構造物があります。

PC連続ラーメン橋：美しい景観とメンテナンス性の高さを両立した高架橋。
地下・半地下構造：騒音対策と景観への配慮から生まれた構造。
単弦ローゼ橋（庄内川橋）：濃尾平野と丘陵地帯の境に位置する、ランドマーク的な橋梁。
楕円形歩道橋（平針歩道橋）：特徴的な形状が目を引く歩道橋。
3大斜張橋（名港トリトン）：名古屋港を横断する、美しい3つの斜張橋。

名古屋環状2号線は、名古屋都市圏の交通を円滑にし、都市の発展を支える重要なインフラです。その歴史、構造、そして環境への配慮を知ることで、この道路が持つ意義をより深く理解することができます。

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