名無しの十字架

名無しの十字架

「名無しの十字架（ななしのじゅうじか）」は、日本の作家、郷一郎による同名の小説を原作とするサスペンスアクション映画作品です。郷一郎氏の小説はまず単行本として刊行され、後に文庫化されています。この小説が、元キックボクサーとして知られる小林聡氏の目に留まり、彼自身の強い思いと企画によって映画化されました。

原作小説

原作小説「名無しの十字架」は郷一郎氏の著作として出版されました。文芸社より2009年11月1日に単行本（ISBN 9784286078632）が、その後、角川書店から角川文庫として2012年11月22日（ISBN 978-4041005231）にそれぞれ刊行されています。

映画『名無しの十字架』

映画化の企画は、小林聡氏が郷一郎氏の小説単行本を読んだことに始まります。彼は物語の世界観と登場人物に強く惹かれ、「この役は自分が演じなければならない」という強い思いから、自ら企画を手掛けました。本作は2012年12月1日に公開されました。また、劇場公開後の2013年6月にはDVDがリリースされています。

映画の大きな見どころの一つである、虎と人間が対峙する（劇中では格闘シーンではなく、対峙するまでの描写）場面の撮影には困難が伴いました。日本国内では動物愛護などの観点から許可が得られなかったため、このシーンの撮影はアメリカ合衆国のロサンゼルスで行われています。

あらすじ

物語は、生計を立てるためにプロレスショップを営みながらも、多額の借金を背負い日々の生活に追われる主人公、三上哲平を中心に展開します。彼の前に現れた一人の顧客からの依頼が、三上の人生を予想もしない方向へと導いていきます。その依頼とは、一部の特異な嗜好を持つ人々の間で噂されている、真偽不明の危険な映像を探し出すことでした。それは「虎と人間が実際に戦った様子を記録した」とされる、いわゆるスナッフ・フィルムではないかと囁かれる、都市伝説のような存在でした。三上は、その映像が本当に存在するのか、そしてもし存在するならどこかに残されているのかを突き止めるため、調査に乗り出します。

しかし、この捜索は彼を、法や倫理の境界線を越えた危険な闇の世界へと引きずり込んでいくのです。調査を進める中で、三上は衝撃の事実にたどり着きます。その伝説の映像に登場するとされる「人間」が、かつてムエタイのチャンピオンとして名を馳せた新崎真太郎という男であること、そして彼が現在は人目を避けるように横浜に潜伏していることを突き止めます。

希望を見出し、三上は新崎のもとを訪ねますが、対面した新崎は、三上が追う映像に関する当時の記憶をなぜか一切失っていました。記憶をなくした元王者の謎、そして彼が関わったとされる危険な映像に隠された真実を追い求める三上は、自身の借金問題をも巻き込む、絶望的な状況に追い詰められていきます。

スタッフ

監督：久保直樹
脚本：稲本達郎、松田知子
原作：郷一郎
音楽：坪野竜也、濱崎明寿
主題歌：カラーボトル「やぁ、野良犬」
製作：映画「名無しの十字架」パートナーズ（ディプレックス、クロスメディア、ビジョンフォレスト、アミティエ、TCエンタテインメント）
配給：アークエンタテインメント

キャスト

三上哲平：神尾佑
柳瀬雪江：松尾れい子
新崎真太郎：小林聡
和田聰宏
米沢瑠美
吉田侑生
みのすけ
前田健
外波山文明
金山一彦
まりか
十太：坂東工
不二子

関連情報

本作に関する詳細情報は以下のサイトでも確認できます。

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