久保直樹

久保直樹（くぼ なおき）氏は、日本の多才な表現者として知られ、脚本家、映画監督、そして自主映画作家として精力的に活動を展開しています。

東京都に生まれ（小中高時代は埼玉県上尾市で過ごす）、大学を卒業後、株式会社文化工房に入社しました。ここでは主にテレビ番組の制作に携わり、中でもテレビ朝日の報道番組『ニュースステーション』ではスポーツコーナーの編集を担当するなど、映像編集の基礎を培いました。

会社勤めの傍ら、27歳頃からは個人的な創作活動として自主映画の製作にも力を入れ始めます。その才能は早くから認められ、数々の映画祭やコンテストで受賞を果たしました。代表的な受賞作としては、1990年の『ボーダーレス』（イメージフォーラムフェスティバル エクスペリメンタルイマジネーション賞）、1991年の『Tours』（神奈川映像コンテスト 神奈川TV賞）、1992年の『バブル』（BJシネマだいすき映像大賞 準グランプリ）などがあります。特に、1993年に制作した『トラッシュ』は、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭のオフシアター部門でグランプリを受賞するなど、自主映画界で高い評価を得ました。

その後、制作会社ロコモーションに在籍していた時期には、いわゆる「ビデオ安売り王」シリーズとして知られる一風変わった作品にも関わっています。例えば、「IWA JAPANプロレス 一軒家！家庭内暴力デスマッチ」や「ケンドーナガサキのバーリトゥード商店街」といった、その独特な企画で話題を集めた作品群です。

さらに、そのキャリアの中でも特異な経験として、ソフト・オン・デマンド（SOD）にて監督として活動していた時期があります。同社の黎明期を支え、特に人気シリーズとなった「マジックミラー号」の初代監督を務めたことでも知られ、幅広い層からの認知度を得るきっかけとなりました。

脚本家としても数多くの作品を手がけています。アニメーションから実写までジャンルは多岐にわたり、主な作品としては以下のものが挙げられます。

アニメ『餓狼伝』（日本ビクター＝東北新社）
Vシネマ『学園怪談 (V)』（ムーヴィ＝ジャパンホームビデオ）
実写作品『こどものこわい話』（バンダイ）
特撮ヒーロー番組『ボイスラッガー』（石ノ森章太郎原作）
映画『けものがれ、俺らの猿と』（町田康原作　日本ビクター）
映画『ピストルオペラ』（鈴木清順監督　2001年公開劇場用映画脚本協力）

また、テレビ番組の演出家としても活動しており、報道からバラエティ、スポーツ特番まで幅広く手腕を発揮しました。関わった主な番組には、『ニュースステーション』をはじめとするテレビ朝日系列の報道番組、『奇跡体験!アンビリバボー』（フジテレビ）、特別番組『娘はやらんぞ!』（フジテレビ）、『脳みその具』（テレビ東京）、『新春芸能人宮古島マラソン』（TBS）、『特番シカゴ・ホープ』（テレビ朝日）、『ベルリン駅伝』（テレビ朝日）などがあります。

映画監督としては、自身がメガホンを取った作品も複数あります。SOD作品でありながらも、チェコのザ・ショック・プルーフ映画祭公式オープニングに招待された『あゝ!一軒家プロレス』や、2007年に第10回IMF準入選を果たし、その後も上映機会を得た『虚空～COCOO～』などがあります。そして、2012年にはアークエンタテイメント配給による劇場用映画『名無しの十字架』を全国公開し、活躍の場を広げました。

これらの映像関連の活動に加え、文筆業にも取り組み、2016年には著書『わが青春のマジックミラー号　AVに革命を起こした男』をイースト・プレスから上梓しています。

多角的なメディアで独自の視点と表現を追求し続ける久保直樹氏。なお、映画『MAY be HAPPY』を監督した同姓同名の久保直樹氏とは別人である点が注意喚起されています。

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