名鉄キハ10形気動車

名古屋鉄道のキハ10形気動車

概要

キハ10形気動車は、名古屋鉄道（名鉄）で運行されていたLE-Carタイプの気動車です。名鉄の広がりある路線網の中で、特に利用が少ない区間に対応するため、1970年代に開発されました。この記事では、キハ10形の概要に加え、その後の改良型であるキハ20形やキハ30形についても詳しく解説します。また、これら車両の運用履歴や譲渡された先の情報も取り上げます。

レールバス導入の背景

名鉄は戦前からの企業統合により、愛知県や岐阜県に広がる路線網を築いていましたが、一部の区間では利用者の減少が著しかったため、新たな運行方法を模索していました。そこで着目されたのが、富士重工業で開発中のLE-Carでした。この誘導により、名鉄は電化設備を撤去し経費削減を図ることを検討しました。

当時の名鉄は全線電化されていたが、国鉄高山本線に特急を運行する際の運用経験もあったため、気動車への抵抗は少なかったものの、現場では性能や乗り心地について不安が残っていました。一方で、経営陣は新しい車両の導入に意欲的で、試作車の走行テストを実施することで問題点を確認することが重要となりました。

1984年には試作車が八百津線で試験運転された結果、運行に関する問題は解決され、キハ10形が発注されることになりました。これにより、1984年から1985年にかけて新車が投入されていきます。その後もキハ20形やキハ30形といった改良型が登場します。

キハ10形の特徴

キハ10形は、富士重工業製の大量生産型レールバスです。外観は貫通扉付きで、座席はオールロングシートとされています。車両の多くはバス部品を流用しており、エンジンや変速機などもバスの部品を利用しています。冷房装置は区間に応じて搭載されましたが、最初の導入時には非冷房車も多く存在しました。

運行区間は八百津線に始まり、その後広見線や三河線にも拡大しますが、モータリゼーションの進展により乗客数が芳しくなく、2001年から2004年にかけて多数の区間が廃止されてしまいます。レールバスが果たした役割は徐々に失われていき、その結果1995年にキハ30形に置き換えられました。

キハ20形とキハ30形について

1987年に投入されたキハ20形はキハ10形の改良型であり、バス部品を多用しながらも、より長い車体を備えています。エンジンも強化されたことで、運行性能が向上しました。その後、2001年以降の廃止が進む中で、キハ30形が登場し、従来のレールバスの構造から軽量鉄道車両へと工法が変更。キハ30形はより大型化し、内装にも工夫が見られますが、それでも運行区間の廃止といった厳しい状況が続きました。

譲渡の経緯

キハ10形はくりはら田園鉄道においてKD10形として生まれ変わり、その一部は保存状態で残っている他、キハ20形とキハ30形はミャンマー国鉄へ譲渡され、RBE2500形として使用されることとなりました。運用方法の変更により、これらの車両は新たな役割を見出していますが、経年劣化が進んでいるため、今後の動向が注目されます。

まとめ

名古屋鉄道におけるキハ10形及びその改良型たちは、時代の流れを反映しつつ多様な適応を遂げた重要な車両です。レールバスが名鉄において担った役割とその変遷は、鉄道の歴史を語る上で欠かせない章となっています。

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