名鉄デキ110形電気機関車

名鉄デキ110形電気機関車の概要

名鉄デキ110形電気機関車は、1951年に名古屋鉄道（名鉄）で導入された特異な歴史を持つ電気機関車である。名古屋鉄道が運営するこの機関車は、もともと東洋紡績が保有していたが、名鉄がその運用や保守管理を担っていた。最初は専用線での製品輸送のために設計され、徐々にその用途は広がっていった。デキ110形は、1968年に東洋紡績から遠州鉄道へ譲渡され、その後は福井鉄道へも渡り、運用環境が変わるたびに様々な役割を果たしてきた。

導入の背景

デキ110形の導入は、犬山工場からの製品輸送の必要性から始まった。東洋紡績は、工場と名鉄犬山線の木津用水駅を結ぶ専用線を保有しており、その運行を任せる電気機関車1両の製造を東洋電機製造に依頼した。1951年8月に完成したデキ110形111号機は、鉄道の需要に応えられるよう設計され、貨物輸送を支援する上で重要な役割を果たした。

車体の設計

デキ110形は、全長8,390mm、全幅2,400mmの凸形全鋼製車体を有しており、中央部に運転室が設けられている。運転室の両腕に主要装置を収めた機械室が配置される形状で、視認性と機能性が考えられたデザインとなっている。前面には前照灯が設置されており、これは運行の安全性を高めるための重要な要素とされていた。この車両のデザインは、当時の他の電気機関車とも共通点が多く、戦後の設計技術の進展を示す一例でもあった。

主要機器の特徴

デキ110形には主に東洋電機製造製の先進的な機器が搭載されており、その中でもES-530-B電動カム軸式制御器が使用されていた。この装置は運転台からの操作で速度を制御することを可能にしており、運転の効率化に寄与していた。また、TDK-516/3-E型の直流電動機を4基用い、全ての軸でその力が発揮される設計がなされていた。.

運用の変遷

名鉄に在籍していた時期、デキ111は主に東洋紡績の貨物列車牽引に使用されていたが、後には他の路線や列車でも活躍することがあった。特に、名鉄の他路線におけるATS（自動列車停止装置）の導入により運用から外される事態が発生した。このため、1968年に名鉄から除籍され、東洋紡績に返還された。

遠州鉄道での運用

その後、デキ111は遠州鉄道に譲渡され、そこで新たな運用を開始した。電圧の変更に合わせて改造が施され、形式名もED213に変更された。主に入換作業に用いられ、この時代にも活発な活動が続けられた。

福井鉄道への譲渡

1975年には福井鉄道にも譲渡され、ここでも新たな役割を担った。主に貨物列車の牽引だけでなく、冬季には除雪作業にも使用されるようになり、その適応力の高さが際立っていた。

現在の状況

2014年に至ってもデキ3は車籍を有し、工場構内の入換機として利用されている。最近では2023年を見据えた改修工事も行われており、今後もその姿を見ることができる可能性がある。名鉄デキ110形は、電気機関車の歴史における重要な存在であり、様々な運用を通じて人々の足となってきた。

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