名鉄ト300形貨車

名鉄ト300形貨車について

名古屋鉄道で使用されていた名鉄ト300形貨車は、かつて存在した木造の無蓋貨車であり、1922年の尾西鉄道での改造から始まる歴史があります。この貨車は、初めは明治時代に製造された小型の有蓋車を基にして改造されたもので、当初はテト300形という名称でした。

背景

尾西鉄道で改造されたテト300形は、原型として用いられた有蓋車が明治30年代から40年代に作られたものであり、その製造元は松井自動車工作所や日本車輌製造など多様でした。1925年に尾西鉄道が名古屋鉄道に譲渡された後、これらの貨車は名鉄によって引き継がれ、1927年までに5両が追加で改造され、全体で20両を数えるようになりました。

改造と運用

ト300形貨車は、1937年に軸距が2,743㎜から3,140㎜に改造され、1941年にはト300形として再度番号が変更されました。これにより、国鉄直通貨車として運用されることになりました。昭和20年代には、さらなる改造が行われ、5両に空気制動が設置されることになりましたが、この変更はこの種類の貨車の運用に大きな影響を与えました。

戦後、この貨車は西部線および三河線で引き続き使用されていましたが、昭和30年代には国鉄直通貨車から抹消され、社内専用貨車としての役割を果たすようになりました。そして1965年には形式自体が消滅しました。

まとめ

名鉄ト300形貨車は、名古屋鉄道の歴史の中で重要な役割を果たしました。多様な改造と運用歴を経て、最終的にはその形式が消滅することになりましたが、名古屋鉄道の貨物輸送の発展とともに歩んできた貴重な車両群の一部です。この貨車を通じて、当時の鉄道輸送の現場がどのように機能していたのかを窺い知ることができます。

参考文献

• - 清水武・田中義人・澤内一晃『名古屋鉄道の貨物輸送』フォトパブリッシング、2021年。
• - 小寺幹久『名鉄電車ヒストリー』天夢人、2021年。

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