名鉄モ50形電車

名鉄モ50形電車の概要

名鉄モ50形電車は、名古屋鉄道（名鉄）にかつて在籍していた路面電車の車両です。この車両は1945年の空襲によって大きな被害を受けた岐阜市内線および岡崎市内線の木造4輪単車を戦後に新たな車体で復活させたものであり、それゆえに「戦災復旧車」とも称されました。初めは元の車番が復元されましたが、1949年に現在のモ50形およびモ65形に改番されました。

モ50形の構造

モ50形は、空襲で損傷した以前の美濃電気軌道や岡崎電気軌道の木造単車を基にした車両です。それぞれの種車は合計で17両に及びました。これら車両の復旧作業は1946年から開始され、新しい車体が名古屋造船の工場で製造されました。元々オープンデッキ構造だったが、新車体への改造により丸屋根へと変更され、乗降扉もつけられました。

主な特徴としては、各車両が持つ窓配置は前面3枚、側面8枚の一段下降窓で、乗客定員は46名というものでした。初めはトロリーポールを用いていましたが、1954年にはビューゲルに交換されました。各車両は、それぞれに細かな違いが見られたものの、基本的な構造と使用する機器は同様でした。特に扉の長さや形状には後の改修で大きな違いが見られました。

運用の歴史

モ50形は復旧後、岐阜市内線及び岡崎市内線に配属されました。1954年にはモ90形の代替としてモ58が岡崎市内線に転籍し、1957年にはモ57が事故で廃車となるなどの変遷を経ました。1960年には全車両が岡崎市内線に転籍し、この地域の主力車両として活躍しました。岡崎市内線は1962年に廃止されますが、廃止時にはその車両の大半がモ50形でした。

最終運転日の直前には特別な装飾を施されたモ58とモ62が花電車として運転され、「蛍の光」のメロディーを流しながら運行されました。

譲渡とその後

岡崎市内線が廃止された後、モ50形は他の路線には転用されることなく、ほとんどの車両が廃車となりました。4両は個人に売却され、残りの14両は無償で保育園や高等学校に譲渡されました。この譲渡の知らせは地域で大きな話題となり、需給が集中しました。

保育園では遊具として使用され、個人譲渡先では集会所や応接間として利用されましたが、木造車体のため老朽化が早く、1970年代前半には多くが役目を終えてしまいました。中でも岡電の元社員に譲渡されたモ66は比較的長い間残存し、最後まで存在したのはモ60でした。モ60は東名高速道路の建設に伴い移転する際に放置され、雑木林の中で朽ちていきました。

車歴表

モ50形の詳細な車歴は多くの文献に基づき記録されています。製造や改造を行った工場名や前身会社の情報も明示されており、名古屋鉄道の歴史を理解する上で重要な役割を果たしています。

名鉄モ50形電車は、名古屋鉄道における重要な一章を形成しており、その姿は今でも多くの人々の記憶に残っています。

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