名鉄モ570形電車

名鉄モ570形電車について

名鉄モ570形電車は、かつて名古屋鉄道（名鉄）の路面電車で使用されていた車両群で、1950年に登場しました。この電車は戦後初めての新製車両であり、岐阜市内線および美濃町線用として設計されたものでした。特に岐阜市内線では、四軸ボギー車としての特徴を持ち、輸送力の向上に貢献しました。

車両の概要

モ570形は、帝國車輛工業によって1950年に製造され、当初は3両（モ571 - モ573）が導入されました。その設計は、東京都電6000形を参考にしており、丸みを帯びた屋根や特有の窓配置など、外観は非常に似通っています。ただし、運転台窓が若干大きめであるなど、いくつかの特徴により独自性が保たれています。台車は古典的なブリル27-E系を使用し、制御方式も直接制御と、保守的な設計が施されています。

その後、1953年と1954年に新たに2両（モ574・モ575）が加わり、全体で5両が揃いました。これらは窓配置が変更されたり、前照灯の取り付け方が改良されたりするなどの違いがありましたが、基本的な機器は初期の3両と同様とされる点が注目されます。

運用の歴史

モ570形は一部が美濃町線に配属され、他は岐阜市内線で運用されました。岐阜市内線では、岐阜市民の交通手段として重要な役割を果たしました。1973年にはモ573が岐阜市内線に転属し、ワンマン運転が導入されるなどの進化が見られました。ここでの改造により、車両の集電装置がアップデートされたり、外部のワンマンカー表示器が取り付けられたりしました。

また、美濃町線のモ571とモ572については、1977年に岐阜市内線へ転属し、同時にワンマン化も実施されています。このように、運用の変遷や技術的な進化がありましたが、冷房装置の搭載は行われず、室内灯も蛍光灯化は見送られました。

廃車とその後

岐阜市内線の主力車両として活躍していたモ570形ですが、モ780形の登場により次第に需要が減り、1998年から2000年にかけて廃車が進みました。また、最後まで残ったモ571、モ572、モ574も、2005年には岐阜市内線の廃止に伴って全車が運用を終えました。廃車後、モ571の窓枠は他の車両の修復に利用されるなど、部分的に再生利用されたケースもありました。

まとめ

名鉄モ570形電車は、昭和の時代を象徴する独自の車両として、多くの思い出と歴史を持っています。そのデザインや技術、運用の経緯は、名古屋鉄道の歴史を語る上で欠かせないものです。

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