名鉄ワム5000形貨車

名鉄ワム5000形貨車の歴史と特徴

名鉄ワム5000形貨車は、名古屋鉄道がかつて運用していた木造の有蓋貨車です。この貨車は1924年から1925年にかけて、日本車輌製造によって製造され、愛知電気鉄道の一部として活躍しました。総計53両が製造され、その型式番号はワム5000からワム5052までです。この当時、愛知電気鉄道では、同時期に製造されたツム5500形通風車と共通の寸法を持っていました。

初期の運用と変遷

当初、ワム5000形は10トン積みとして運用されていましたが、鉄道の軌道強化が進んだことで、軸重上限が引き上げられ、最終的には本来の15トン積みとして運用可能となりました。その53両のうち、12両は知多郡常滑町の荷主の私有貨車として利用されていました。この木造貨車は、1935年に名岐鉄道と愛知電気鉄道が合併することで名古屋鉄道に引き継がれ、1941年にはワム5001からワム5053へと改番されました。

貨物輸送と用途

ワム5000形は国鉄直通貨車でもあり、主に常滑線などの東部線で運用されていました。その用途としては、常滑焼の甕や土管などを輸送することに特化しており、地域経済にとって重要な役割を果たしていました。1954年に名古屋鉄道が渥美線を豊橋鉄道に譲渡した際、ワム5000形のうち6両は豊橋鉄道に移され、以降はワム20形貨車として渥美線で運用されることになりました。

老朽化と消滅

昭和30年代後半から40年代前半にかけて、ワム5000形貨車の一部は私有貨車として振り分けられ、常滑通運や大同製鋼の所有となりました。しかし、国鉄の貨物列車の速度制限が引き上げられたこと、および名鉄の私有貨車制度が廃止されたため、1968年にはワム5000形は形式消滅となりました。豊橋鉄道に移行された6両は、1984年に貨物営業が廃止されたことで形式消滅し、その後の運命をたどります。

静態保存の歴史

移籍した6両のうちの1両（ワム21、元ワム5014）は伊良湖フラワーパークで静態保存されていましたが、2005年に公園が閉鎖された際に撤去されました。このように、名鉄ワム5000形貨車はその運用歴の長さと地域への貢献によって、名古屋鉄道や地域住民に親しまれてきました。木造貨車の存在は、鉄道の歴史や貨物輸送の変遷を映し出す貴重な資産と言えるでしょう。

参考文献

• - 清水武・田中義人・澤内一晃『名古屋鉄道の貨物輸送』フォトパブリッシング、2021年。ISBN 978-4-8021-3270-1。

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