名鉄谷汲線

谷汲線の概要と歴史

谷汲線（たにぐみせん）は、岐阜県揖斐郡大野町の黒野駅から、同郡谷汲村にある谷汲駅までを結ぶ名古屋鉄道（名鉄）の鉄道路線でした。この路線は、地域の名刹である谷汲山華厳寺へのアクセスを目的とし、また地元の開発を促進するために設立された谷汲鉄道によって開通しました。

路線のデータ

• - 営業距離：11.2 km
• - 軌間：1,067 mm
• - 駅数：9駅（起終点駅を含む）
• - 複線区間：全線単線
• - 電化区間：全線電化（直流600 V）
• - 閉塞方式：票券閉塞式とスタフ閉塞式を併用する形態でしたが、特定日には二閉塞として運行されました。

また、運賃計算は営業距離の1.25倍を基準としていました。このように、運行形態は普通列車のワンマン運転でした。朝のラッシュ時は30分間隔での運行があり、特定日には臨時列車が増発される形で運行されました。

使用された車両

ワンマン運転が始まる前は、いくつかの車両が使用されていました。1984年からは、モ700形とモ750形を基本に運行され、特にモ700形は多客時に2両編成で使用されました。谷汲線の電力供給は揖斐線からの受電に依存していたため、特定の形式の車両には運用に制限がありました。これにより、一部の旧型車両が使用され続けることとなりました。

谷汲鉄道としての歴史

谷汲線の開業に至る歴史は、1922年に遡ります。当時、地元の交通手段を確保するための鉄道敷設が申請され、1924年に谷汲鉄道が設立されました。その後、1926年に黒野-谷汲間が開業し、盛大な開通式が行われました。しかし、開業からしばらくは乗客数の波があり、特に華厳寺の御開帳の際に多くの乗客が訪れる一方、通常時は業績が悪化した時期もありました。最後には名古屋鉄道に合併され、谷汲線はその一部として存続することになります。

運行のスタイルと変遷

運行形態は時代によって変化し、特に臨時列車の運行が盛況だった時期もありました。また、路線の運行は全駅に停車する形で行われ、運転間隔にも工夫が凝らされていました。運行が終息を迎える2001年まで、谷汲線は地域住民や観光客に親しまれました。

最後には、名阪近鉄バスによる廃止代替バスが運行されることになりましたが、これにより沿線の交通は新たな事業へと移行していきました。谷汲線の歴史は、地域の発展と文化的な側面を反映した重要な交通手段であったと言えるでしょう。

まとめ

谷汲線は、岐阜県の風景と歴史に深く根付いた象徴的な鉄道路線でした。鉄道の廃止は多くの地域住民にとって寂しい出来事であったとともに、間接的にその地域の発展に寄与してきたことが伺えます。現在では、その記憶を語る資料としての役割を担いつつ、地域の歴史の一部として静かに見守られています。

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