華厳寺

華厳寺の魅力と歴史

華厳寺（けごんじ）は、岐阜県揖斐郡揖斐川町に位置する天台宗の寺院で、谷汲山（たにぐみさん）を山号としています。この寺院は、西国三十三所第33番札所としても知られ、特に桜や紅葉の名所として多くの観光客を集めています。本尊には十一面観世音菩薩が祀られ、脇侍には不動[[明王]]と毘沙門天が安置されています。

歴史的背景

華厳寺の創建は、延暦17年（798年）に遡ります。その際、会津の郡司である黒河郷の大口大領が、自身の信仰に基づく観音像を建立するため、仏師に依頼しました。しかし、観音像は途中で動かなくなり、その地に草庵を築くこととなります。その後、修行僧の豊然上人とともに、華厳寺が正式に設立されました。

延喜17年（917年）には醍醐天皇から「谷汲山」としての山号と「華厳寺」の扁額が下賜され、天慶7年（944年）には朱雀天皇によって鎮護国家の道場と定められました。これにより、寺院は一万五千石の仏具を賜り、重要な地位を確立します。この山号は、寺周辺の谷から油が湧き出る事実から来ていると言われています。

西国三十三所の中でも、華厳寺は近畿地方を除く唯一の札所寺院であり、多くの巡礼者がここを訪れます。

境内の構造と見所

華厳寺の境内へは、総門をくぐると両側に桜の木が並び、さらに土産物店や飲食店が立ち並ぶ参道が続きます。約1kmの距離を歩くと、仁王門に達し、そこからは石畳の参道が本堂へと続きます。本堂の背後には阿弥陀堂や笈摺堂、子安堂など、複数の堂宇があります。

本堂

本堂は1879年に再建され、正面は五間、側面は四間の入母屋造りです。本尊の十一面観音は厳重に秘仏とされ、公開されていませんが、その美しさは多くの巡礼者を惹きつけています。観音像の詳細は不明ですが、特殊な彫刻様式が施されており、平安時代にさかのぼる作品と推定されています。

笈摺堂と満願堂

笈摺堂には花山法皇に由来する逸話があり、西国三十三所巡礼を終えた人々が奉納した笈摺や朱印帳が常に置かれています。訪れる人々は、千羽鶴を奉納し、安産や子宝祈願を行います。満願堂は、巡礼者が納め札を納める場所で、狸の石像が並ぶ景色が印象的です。

文化財と現代の華厳寺

華厳寺には、多数の国の重要文化財が存在しており、特に木造毘沙門天立像や絹本著色三十三所観音曼荼羅が知られています。これらは多くの訪問者にとっての見所です。

近年では、マスコットキャラクター「いのりちゃん」が設定され、地域の振興活動にも貢献しています。

アクセス

華厳寺へのアクセスは、公共交通機関や自動車で容易です。大垣駅から樽見鉄道を利用し、その後はコミュニティバスで向かうことができます。自動車での訪問も可能で、名神高速道路から約60分の距離にあります。

華厳寺は、歴史と自然が調和した美しい場所であり、訪れる人々に静かな心安らぎを提供します。観光地としてだけでなく、歴史的な価値も併せ持つこの寺院は、多くの人々に愛され続けています。

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