名鉄起線

起線について

起線（おこしせん）は、愛知県一宮市に位置する新一宮駅から、愛知県中島郡起町にある起駅までを結ぶ名古屋鉄道（通称名鉄）の軌道線です。この路線は、かつての美しい風景を背にしながら、地元の人々に長年愛されてきましたが、1953年に廃止される運命を辿りました。

路線概要

起線は、その距離が約5.3キロメートルで、全線が単線で構成されていました。また、軌間は1,067ミリメートル、直流600Vの電化が施されており、10の駅（起と終点を含む）を有していました。この路線は、当初は蘇東電気軌道として設立され、名古屋鉄道に合併された後、1924年に運行が開始されました。

歴史的背景

起線の歴史は、1910年代後半に始まります。1921年8月5日に、起から一宮への便を確保する目的で、軌道敷設の免許を取得。その後、1922年に蘇東電気軌道が設立され、1924年に起から一宮間が開業しました。

1946年には休止していた複数の駅が営業を再開し、最盛期には多くの乗客を運びました。しかし、戦後の様々な影響により、輸送力の増強が難しくなり、特に沿線の人口増には対応できない状況が続きました。さらに、1952年には尾西線の架線電圧がアップグレードされたことに伴い、新一宮駅への乗り入れが廃止されました。

その後、起線の運行は1953年6月に休止され、同年中にはバスによる代替輸送が開始されました。このバスサービスは新一宮駅にも乗り入れており、低コストで多くの人を運ぶことができました。最終的には、全線が1954年6月に正式に廃止され、バス輸送に完全に転換されました。

バス化の事例

起線の廃止は、特にバス化によるものとしては珍しいケースです。この路線は乗客数が多かったため、バスへの転換が行なわれましたが、一般的には乗客数の減少による廃線が多いのです。そのため、起線の事例は地域の交通手段に対する新たな考え方を示すものでもありました。

交通環境の変化

起線の廃止後も、かつての路線沿いは道路としてその形を保っていますが、2020年時点では依然として片側1車線の状態です。隣接する県道は片側2車線のバイパス道路となっており、交通の流れは更に変化を遂げています。これにより、当時の路線が持っていた交通の役割がどのように変わったのかを実感できる場面となっています。

終わりに

起線は、地域交通の歴史の一端を担っていた重要な路線でした。バスへの転換による交通インフラの変革は、今もなお地域住民にとって大きな意味を持っています。起線の物語は、地域の人々の生活に深く根付いており、今もなおその名残を感じさせる存在となっています。

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