向田邦子 イノセント

ドラマ『向田邦子 イノセント』

『向田邦子 イノセント』は、2012年の春にWOWOWで放送されたドラマWで、著名な作家・向田邦子の短編小説を基にしたオムニバス形式の作品です。物語の中心テーマは「男女の愛」であり、向田の作品に触発された脚本家たちが新たなストーリーとして再構築しました。主演には、寺島しのぶ、中越典子、貫地谷しほり、原田美枝子といった実力派の女優たちが揃い、感情豊かな演技が魅力を引き立てています。

各エピソードのあらすじ

隣りの女

ガーデニングを趣味に持つ主婦サチ子は、隣人の峰子が何者かに襲われている音を聞き、急いで助けに行きます。峰子は、サチ子が助けに行った時にさるぐつわをされ、窓から身を投げようとしていました。無事に救い出された峰子は、美術ギャラリーのオーナーであり、若い日本画家との関係も持つ自由な女性です。平凡な生活に倦んでいたサチ子は、次第に峰子の生活に嫉妬心を抱き、彼女の愛人に近づこうとします。サチ子が峰子の持っている自由や楽しみを羨む様子が描かれています。

きんぎょの夢

小さなイタリアンレストランを経営する砂子は、愛人・殿村と不倫関係にありますが、彼の妻との離婚が進展しない中、深入りしすぎる自分に葛藤を抱えています。妹が夫に浮気されて辛い思いをしている姿を見て、砂子は自身の不倫も恥じるようになります。殿村との関係が進展しない中、火事のニュースを受けて、砂子は孤独感と不安に苛まれます。さらに、殿村の妻からも戦略的に迫られ、彼女は自分の生活の選択に直面することになります。

三角波

商船会社で働く巻子は、婚約者の達夫とこれまでどう進むべきかを考えています。ある日、同僚の波多野から受ける警告を受け、彼女は結婚を考え直すきっかけを得ます。波多野との接点が増えるにつれて、彼の意図が明らかになり、巻子は恐れと戸惑いを抱えます。最終的に、波多野の行動が徐々にエスカレートする中、巻子は自分の結婚自体を考え直すよう強いられます。

愛という字

息子が独立し夫との二人暮らしになった夕子は、退屈な日常に悩まされています。ある日、彼女が携帯電話を取り違えたことがきっかけとなり、新木というデザイナーと出会います。新木との関係が深まることで新しい風が吹き込み、彼女は日常に再び色を取り戻しつつあります。しかし、新木の病気の影が関係に不安をもたらす中、夕子は現実に直面していくこととなります。

スタッフ・キャスト

本作は原作に向田邦子を掲げ、各エピソードの脚本は多様な才能により執筆されています。制作には、音楽や美術スタッフも関わり、完成度の高い作品に仕上げられています。観る者に様々な感情を呼び起こす四つの物語は、現代社会の男女の関係について深い洞察を与える内容となっています。

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