君の知らない君の歌

ASKA 『君の知らない君の歌』

『君の知らない君の歌』 は、シンガーソングライターASKAが2010年11月3日にユニバーサル シグマより発表したセルフカバーアルバムです。この作品は、同年2月にリリースされた『12』に続くセルフカバーシリーズの第2弾として制作され、CHAGE and ASKAの相棒であるChageのオリジナルアルバム『&C』と同日に発売されました。

本作の公式な位置づけは「ソングライターズヒストリー vol.2」。ASKAがこれまでに手掛けてきた多数の楽曲の中から、自らが選曲した12曲が収録されています。これらの12曲は、それぞれが独立した一章となり、全体としてまるで一編の恋愛小説を読むかのような構成を持つ、意欲的なコンセプトアルバムとして完成しました。

アルバムの大きな特徴として、収録曲の多くがCHAGE and ASKA時代の楽曲のセルフカバーである点が挙げられます。一方、ASKA単独名義のソロ楽曲からは、「MIDNIGHT 2 CALL」の1曲のみが選ばれました。これらの楽曲は、オリジナルの雰囲気は残しつつも、本作のために新たな解釈やアレンジが加えられ、新鮮な魅力を放っています。

収録曲一覧

本作に収録された全12曲は以下の通りです。

1. めぐり逢い
2. 好きになる
3. パラシュートの部屋で
4. B.G.M
5. MIDNIGHT 2 CALL
6. 明け方の君
7. くぐりぬけて見れば
8. Far Away
9. 201号
10. 君の好きだった歌
11. no doubt
12. C-46

楽曲の背景と関連展開

いくつかの収録曲には特筆すべき点があります。「MIDNIGHT 2 CALL」は後奏が次曲「明け方の君」へとシームレスに繋がる構成で、「明け方の君」には別の収録曲「B.G.M」のメロディが引用されるなど、楽曲間の有機的な繋がりが意図されています。「君の好きだった歌」は、オリジナルからより長いフルコーラス版に再構成されています。

特にラストトラックの「C-46」は、発売後に大きな話題となりました。漫画家・弘兼憲史氏がこの楽曲に触発され、イメージストーリー『黄昏流星群 〜C-46星雲〜』を漫画として描き下ろしました。さらにこの作品は、2011年2月20日にスペシャルドラマ化され、フジテレビ系列で放送されるなど、アルバムの楽曲が異分野の作品に影響を与え、さらにそれが映像化されるという珍しい展開を見せました。

『君の知らない君の歌』は、ASKAがソングライターとしての軌跡を独自の視点で振り返り、選ばれた12曲を通じて一つの物語を紡ぎ出した作品です。過去の楽曲に新たな息吹を与え、リスナーに新鮮な感動を与えるセルフカバーアルバムとして、また彼の音楽世界を深く知る上で重要な一枚と言えるでしょう。前作『12』と合わせて聴くことで、セルフカバーシリーズの全体像がより深く理解できます。

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