君よ憤怒の河を渉れ

君よ憤怒の河を渉れ

『君よ憤怒の河を渉れ』は、1974年に出版された西村寿行の小説を原作とした、1976年に公開された日本のサスペンスアクション映画です。監督を佐藤純彌が務め、主演には高倉健が起用されました。映画は、151分の長さでカラー制作、シネマスコープ形式で撮影されています。この作品は、高倉健が東映を退社した後の最初の作品となり、大映の復帰作ともいえる重要な意味を持っています。また、タイトルの「憤怒」は、原作とは異なる振り仮名が用いられています。

あらすじ

物語は、ある日代議士の朝倉がホテルの高層階から飛び降りて死亡するところから始まります。この事件を捜査する警視庁の警部矢村は、彼の証言を受けて自殺として処理しますが、東京地方検察庁の検事杜丘冬人はこれに疑念を抱き、独自の捜査を開始します。

1976年10月10日、杜丘は朝倉の妾が経営している新宿の小料理屋に向かう最中、強盗容疑で逮捕されてしまいます。彼は無実を訴えますが、さらなる窃盗容疑が加わり、逃亡者となってしまいます。杜丘は、夫婦である横路敬二と加代の正体を探る中で、次第に二人の過去や背景を明らかにしていきます。

杜丘は横路に接触するため様似へ行きますが、そこで待ち伏せされたり、熊に襲われたりするなど命の危険にさらされます。しかし、彼は運良く大牧場主の娘、遠波真由美と出会い、彼女に助けられることになります。彼女は父が政治家であり、彼との関係からさまざまな危機に直面する状況に胸を痛める杜丘。

物語は緊迫感溢れる中、杜丘と彼を取り巻く人々が絡み合い、次第に真相が明らかになっていきます。特に、朝倉が死の直前に東南製薬から不正に金を受け取っていた事実や、横路が精神病院に収容されていた背景が語られます。このような中で、長岡は杜丘の追跡をかいくぐり、逃亡を図りますが、最終的に杜丘の反撃に遭い、物語はクライマックスを迎えます。

映画は1979年には中国で公開され、文化大革命後の外国映画の最初の上映として位置づけられ、大きな反響を呼びました。映画が伝えたメッセージは、中国の観客たちに大いに共鳴し、人気を集めました。高倉健や中野良子は、中国でも人気を誇る俳優となり、後続の作品でもその影響は続いていきました。

また、2017年にはジョン・ウー監督による本作のリメイクが公開されるなど、さまざまな形でこの作品の影響を受けています。『君よ憤怒の河を渉れ』は、ただの映画作品にとどまらず、日本映画の重要な一ページに名を刻んだ名作となっています。

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