君主制廃止

君主制廃止

君主制廃止とは、国家や地域が君主制を終わらせ、主権を国民に帰属させることを指します。君主の存在しない国家は「共和国」と呼ばれ、これは主に共和主義と結びついています。君主制廃止の歴史は古代から現代に至るまで様々な形で展開されてきました。

概要

王政を廃止した国家体制は共和制として認識され、古代アテナイでは王政が崩壊し、民主政に移行しました。古代ローマも王を追放し、共和政を名乗ったことが特徴です。中世に入ると、ローマ帝国の影響を受け、多くの都市国家が共和制を採用しました。大航海時代の後、旧来の君主制は多くの地域で消滅し、植民地となった地域でも主権が問われるようになりました。

17世紀以降、啓蒙思想や自由主義、さらには民族主義の拡大に伴い、君主制は国民国家へと変わっていきました。イギリスの清教徒革命では王政が崩壊し、その後の名誉革命で王権が制限され、立憲君主制が確立しました。アメリカ独立革命以降、アメリカ合衆国は大統領を元首とする共和制を採用し、続くフランス革命では王政が廃止されて新たに共和国が設立されました。

20世紀には二度の世界大戦や新たな植民地独立運動の影響を受け、多くの国で君主制が廃止され、いくつもの共和国が誕生しました。1912年、アジア初の共和国である中華民国が成立し、続く1917年にはロシア革命によってロシア・ソビエト連邦社会主義共和国が成立しました。これに伴い、複数の国が君主制を廃止して新たに共和制を採用する流れが加速しました。

歴史的背景

古代

古代ギリシャのアテナイでは王制を打ち破り、貴族による支配を経て、民会を基盤にした民主政が生まれました。この時期の「デモクラシー」という概念は、後の民主主義の形成に大きな影響を及ぼしました。ローマでは王政を廃止し、自らを共和制と名乗るようになりました。

中世

7世紀のヨーロッパでは、都市国家が次々と君主制を廃止し、ヴェネツィア共和国やフィレンツェ共和国などが成立しました。16世紀からはネーデルラント連邦共和国も登場し、これらが共和制の発展に寄与しました。

近代

清教徒革命によりイングランドで共和政が成立し、その後も王政が復活。しかし1688年の名誉革命を経て王権が制限され、法の支配と議会制度が確立されました。18世紀のアメリカ独立は、君主国からの脱却と共和制の確立を示しました。また、フランス革命においてフランス第一共和政が成立し、国民国家が形成されていきました。

20世紀以降

20世紀に入ると、複数の君主国家が廃止され、特に敗戦国となったドイツやオーストリア、オスマン帝国などが共和制へと移行しました。第二次世界大戦後も多くの伝統的君主制が崩壊し、共和国が相次いで成立しました。また、エジプトやリビア、チュニジアなどでの王政廃止後にも新たな共和国が設立されるなど、君主制廃止の流れは継続していました。

このように、君主制廃止は世界各地域でさまざまな文脈や背景を持ちながら進行してきた歴史的現象であり、現代の国家体制形成にも大きな影響を与え続けています。

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