君侯同盟

君侯同盟（Fürstenbund）

君侯同盟は、1785年にプロイセン王国の主導によって締結された、神聖ローマ帝国における領邦国家間の同盟です。諸侯同盟とも呼ばれます。

成立の背景

バイエルン継承戦争後、プロイセンのフリードリヒ大王は、オーストリアの勢力拡大を阻止するための体制を構築することを急務としました。そのため、東方ではロシアとの協調関係を維持するとともに、神聖ローマ帝国内においても同様の仕組みを整える必要性を感じていました。当時の皇帝ヨーゼフ2世の外交政策は、プロイセン以外の諸侯にもオーストリアへの警戒心を抱かせるのに十分であり、同盟の話は急速に進展しました。

1785年6月、まずハノーファーおよびザクセンといった比較的大きな領邦が同盟を締結し、その後、マインツ、ヘッセン＝カッセル、ブラウンシュヴァイク、ザクセン＝ゴータ、ザクセン＝ヴァイマル、ザクセン＝アンハルト侯、バーデン、バイロイト、アンスバッハ、メクレンブルク、ツヴァイブリュッケン、オスナブリュックなど、中規模から小規模の諸領邦が次々と参加しました。

同盟の内容

君侯同盟は、明確に反オーストリアの姿勢を打ち出しました。金印勅書やウェストファリア条約などで定められた領邦の不可侵の権利を断固として保持することを宣言し、その権利を侵害しようとする皇帝（すなわちオーストリア）に対しては共同で抵抗する構えを示し、オーストリアを強く牽制しました。

同盟の影響

プロイセンの主導で成立したこの同盟に多くの領邦が参加したことは、神聖ローマ帝国内の勢力が、プロイセンとオーストリアという二つの勢力に明確に分かれたことを示しています。フリードリヒ大王は同盟成立の翌年に死去しましたが、この同盟は、事実上、大王の最後の外交政策となりました。

この同盟は、後のプロイセンにとって大きな助けとなりましたが、その展開は大王の想定とは大きく異なるものでした。フランス革命の勃発により、同盟の目的はオーストリアの拡張阻止から、フランスとオーストリアの戦争において北部・中部ドイツを（プロイセンの後見のもと）中立地帯とし、プロイセンの勢力圏を確立することへと変化しました。この勢力圏はナポレオンによって一度は崩壊させられますが、後に形を変えて復活することになります。

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